大阪樟蔭女子大学公式サイト 学長だより 北尾悟

ウイルス変異!~正しく恐れよう~

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まる気配を見せません。しかも最近のニュースではイギリスで感染力が増したコロナウイルスが確認された、と報道されました。ウイルスが変異したようです。

 前職の20歳代後半の数年間、ウイルスを利用した研究開発に従事していました。一般の人々よりウイルスに関する知見があるので、コロナウイルスについて私が最近思っていることを綴ってみたいと思います。ただ私が研究材料に用いたウイルスは、バクテリオファージと呼ばれある特定の細菌に感染するタイプで、コロナウイルスとは異なり人には毒性がないものを扱っていたことを最初にことわっておきます。

 コロナウイルスはRNAに遺伝情報が刻まれているタイプのウイルスです。インフルエンザウイルスも同じで、一般にRNAウイルスと呼ばれています。このRNAウイルスは、RNAをウイルス粒子の中にもち、自分自身のコピー(子孫)を増やして生き延びていくのです。一般にウイルスは単独で生存することができません。ヤドカリが貝殻を自分のすみかにするように、ウイルスは宿主というある生き物の細胞の機能を巧妙に利用して子孫を増やし、その細胞から飛び出し別の細胞に侵入し子孫を更に増やすというサイクルを繰り返し増殖していきます。今回の新型コロナウイルスは感染しても症状が現れない、あるいは遅れて現れるようで、これまでのウイルスとは違うと言われています。ヒトの肺細胞などに侵入後のライフサイクルが従来のウイルスとは異なるのかもしれません。

 また報告されている変異コロナウイルスは、ウイルスが細胞に侵入時に肺細胞などの表層に吸着する際に重要な役割を果たす粒子表面に突き出たスパイクタンパク質が変異したと言われています。感染力が増したということは、吸着力が強まっている可能性があります。今後、研究の進展が望まれます。

 RNAは1本の鎖状の構造をしています。ヒトはじめ多くの生物は、RNAではなく2本の鎖構造のDNAに遺伝情報を保存しています。変異とは、RNAやDNAの構造が変わることであり、遺伝情報に基づく表現(今回のケースでは感染力が強くなった)も違うようになることです。2本より1本の構造のほうが、何か環境が異なることで変化しやすいことが容易に想像できます。

 さて感染拡大を防ぎ、平穏な日常を送るためには、ワクチンや抗ウイルス薬の開発が望まれます。まずワクチン開発が先行していますが、イギリスなどで既に始まっている某製薬企業のワクチンは、メッセンジャーRNA(mRNA)と呼ばれこれまでとは違う仕組みのものです。従来のワクチンは毒性を弱めたウイルスやウイルスを構成するタンパク質を投与するものです。mRNAワクチンはウイルスの遺伝情報を基に作製したmRNAを使い、体内でウイルスタンパク質を作らせ免疫反応を誘導して抗体ができるという仕組みになっています。大量生産しやすいメリットはありますが、RNAなので構造が変化しやすく、マイナス70℃の超低温で保管流通する必要があります。国内外の製薬企業はmRNAとは違う仕組みのアプローチも含めて様々なタイプのワクチン開発が進められています。安全性などを長期的に確認することも必要なので、一般に広く接種できるようになるには、もう少し時間がかかるでしょう。

 また、抗ウイルス薬の開発も進行しています。こちらはウイルスのライフサイクルのある過程に絞って、ウイルスの増殖をピンポイントで抑え治療を行うというものです。これまで開発されたインフルエンザやエイズウイルスに対する抗ウイルス薬も同じ発想で作られています。薬の投与は副作用に注意をしなければなりません。ウイルスだけを攻撃して宿主であるヒト細胞には影響を及ぼさなければ良いのですが、なかなかうまくはいきません。体内に侵入したウイルスは宿主であるヒトの細胞のシステムを老獪に利用しているので、ウイルスのみを選別して作用する薬を開発するのが難しいのです。各研究機関において、ヒトが持っていないウイルス特有のライフサイクルのシステムに着眼し、ウイルスのみを選択して副作用がなく効能の高い医薬品開発にしのぎを削っているとの情報もあるので、研究開発が進むことを願いたいと思います。

なにやら講義めいた内容となりました。なるべく科学になじみの薄い人にも読んでいただけるよう表現したつもりですが、ついつい専門的になってしまい、実は7回、この駄文を書き直しました。自分の文章表現の拙さもありますが、多くの人たちに理解してもらうのは難しいですね。

 新型コロナウイルス粒子には周りにエンベロープという脂の膜があります。インフルエンザウイルスも同じです。アルコール溶液(エタノール濃度70~80%)の消毒がこれらのウイルスに有効とされているのは、アルコールが脂の膜に作用しウイルス粒子を破壊するからです。科学情報を正しく理解し、その情報に基づきリスクを考えながら行動する、つまり「正しく恐れる」ことが肝要かと思います。

 しかし一番心がけたいことは、栄養バランスの良い食事を摂り、しっかりと睡眠をとって免疫力を高めることです。我が家の柴犬を見習らなければ・・・・

mydog-1.jpg 穏やかな年末年始を過ごされることを祈っています。

2020年12月26日

学長  北尾 悟

オンライン袴コンテストで感じたこと

 先日、オンライン袴コンテストが開催されました。例年、学園祭(くすのき祭)の1つのイベントとして本コンテストは開催していました。ただ今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、同じような形式での実施は困難と判断しました。

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 このような状況下、樟蔭のシンボルでもある"深緑の袴"にフォーカスした歴史あるコンテストを無観客でライブ配信しよう!との声があがり、多くの学内外の関係者のご尽力ならびにご協力のもと、オンラインで開催する運びとなったのです。

 今回、5名の学生さん達がコンテストに応募してくれました。当日までプライバシーに配慮しつつサイトを立ち上げ、日常生活やアピールしたいことなどを綴り、これらの閲覧数も採点に取り入れるという審査方法をとりました。また当日は予め録画した特技を披露し、コロナ禍で感じたこと、考えたことについての作文の朗読も併せて、審査の対象として進行しました。

 事前の準備そして当日のパフォーマンス、5名すべての学生が自分の魅力を十二分に発揮してくれたと思います。現況、閉塞感のある世の中ですが、皆、こういう状況だからこそ、前向きに考え、人との関わりを大事にしていきたいと語ってくれました。自分の将来の夢をしっかりと持ち、相手が存在するからこそ自分もこの場に存在している、だから笑顔で接して周りの人たちを幸せにしたい、と伝えてくれました。まさに「他者を感じるセンス」を充分に感じられる5名でした。

 前回の学長だよりで、「他者を感じるセンス」がこのコロナ禍においてとても重要ではないかと記しました。こういう状況をチャンスに捉え、自分とは違う他の人たち、周りの人たちに関心を寄せることを通して、逆に自分を見つめるきっかけになると私は思っています。自分を見つめ直すことにより、内面の美しさとともに、その内面の美に応じた言動や立ち居振る舞いをも含めたトータルの美が作りあげられるようになるのではないでしょうか。応募された5名から十分にトータルの美が伝わってきました。まさに大学のグランドデザイン"美 Beautiful~美(知性・情操・品性)を通して社会に貢献する~"を具現化していて、ほんとうにうれしく思います。この5名に限らず樟蔭の学生は皆、ポジティブに行動していく心の持ち主であることを感じています。私たち教職員も学生の皆さんに十分に応えていく体制を作っていかねばなりませんね。

 今回の企画実行に関して、多くの学内外の方々にお世話になりました。多くの企業様、関係者の方々にまずは御礼申し上げます。またコンテストサイトに入り審査をしていただいた多くの皆さまにも感謝いたします。そして計画立案から当日運営まで奔走してくれたくすのき祭実行委員の学生さん達、彼女らを支えてくれた教職員はじめ多くの方々へもこの場を借りてお礼の言葉を伝えさせていただきます。ほんとうにありがとうございました。

我が家の柴犬も、常に周りの状況をサーチし自分を見つめ直しています。先月は紅葉を愛で、四季の移ろいを感じているようです。

1204-1.jpg2020年12月 4日

学長 北尾 悟

他者を感じるセンス~ウィズ コロナの時代に~

 さて、新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ経済状況を回復させるため、政府は「Go To キャンペーン」を開始しました。観光・運輸業、イベント・エンターテイメント業、飲食業などに携わる人たちの困窮を少しでも緩和することが目的です。一定の効果は見込めると思いますが、様々な課題が現実問題として露呈してきました。それは不正受給行為です。

 そもそもこのキャンペーンの財源は、2兆円弱の補正予算です。これは国債発行によってまかなうとされています。ある程度、人の流れを活性化して消費を促し、経済状況を上向きにするには、キャンペーンなどにより国民を鼓舞することは確かに必要です。感染リスクも伴い冷え切ったマインドの状態なので、号令だけではなくインセンティブを与えることも大事でしょう。ただ私利私欲に走り、自分だけ得をしようと考えるのはいかがなものでしょうか?こういう行為は、後々私たちの子孫に不必要な借金を負わせることになります。自分の行為が他の人たち、今、時を同じくして生きている人たちだけではなく、自分の子どもや孫の代など将来に渡り大きな負担を負わせることに気づいてもらいたいものです。

 コロナ禍の状況下、「他者を感じるセンス」がより一層求められるのではないでしょうか?この半年、ノーマルではないアブノーマルな生活を強いられ、多くの人たちが大なり小なり心身に変調をきたしたと思います。こういうときは自分のことで精一杯だと思います。しかし、人は自分以外の人たちと交わって生きています。仕事でも趣味でも恋愛でも、他の人たちとまったく関わらずには人生を送ることはできません。他者と良好な関係を築くことが今以上に求められると思います。

 以前、「他者をリスペクトするセンス」を養ってください、と伝えました。学生を含めた何人かの人から、「どうやって養ったらいいの?」「他の人をリスペクト、褒めることができない!」と質問や抗議?を受けました。私の拙文を読んでくれるだけでも嬉しいのですが、もっと気楽に向き合ってもらえればと思います。まずは他の人のことを思うことからでも構わないです。自分という人間以外の大勢の他者が存在してこの世の中が成り立っている、ということを意識するだけでも十分だと思います。

 人間の感覚は大きく5つあると言われています。見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触る。すなわち、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感です。ここにもう1つ「他者を感じる感覚(センス)」を付け加えてみるのはいかがでしょうか?もちろん、この6つ目のセンスは既にある5つの感覚を介してもたらされるもので、学問的に同列に扱うことはできないことは重々承知しています。しかし将来どんなに科学技術が進展したとしても、いや進展すればするほど、「ヒト」として生きていくには、とても重要なセンスだと考えています。

1dog.png 6つ目のセンス、「第6感」という言葉があり、辞書によれば、五感を超えたものとされています。そう大げさに考えず「他者を感じるセンス」とは、人は大勢の人たちに囲まれて生きている、そういう大勢の人たちがいることを感じて生活する、それは過去も現在も未来も同じだ、ということ気持ちをもつことから始めてみてはいかがでしょうか。コロナ禍下、Go Toキャンペーンが正しく運用され、社会全体の景気が上向き、ほんとうに困窮している業者の方々に笑顔が戻ることを願ってやみません。

我が家の柴犬も常に第6感を養っています。後ろ向きの姿勢でも尻尾をセンサーにして周りの状況をサーチしています。

2020年10月14日

学長  北尾 悟

くすのきの葉蔭に集うあなたへのメッセージ  ~春期が終わるにあたって~

 春期が終了しました。学生の皆さん、遠隔(オンライン)授業、どうだったでしょうか?この春に入学された1年生はキャンパスでの対面授業の経験がないまま、オンライン授業を受け続けることになりました。また進級された2年生以上の皆さんも通常のキャンパスライフが制限され友人との語らいやクラブ活動も自粛となり、思い描いていた日常とかけ離れた現状にメンタルバランスを保つことが難しい人もいるかと思います。わたくしたち教職員も経験がない中、学修面を中心に学生の皆さんへのサポートを強化してきたつもりですが、皆さんへ十分に対応できなかったところもあったと思います。

 これからのことについて記したいと思います。

 8月17日(月)からの集中講義期間の授業方針を、樟蔭UNIPAや大学のホームページにてお知らせしました。個々の授業科目の実施方法(授業方法・日程・教室)の詳細については、樟蔭UNIPA掲示等で順次お知らせしますので、受講登録している皆さんは情報発信を確認し対応してください。その後の「実験実習実施特定期間(8月31日~9月24日)」や「秋期(9月25日以降)」での授業はどうなるのか、皆さんの関心も強いと思います。

 新型コロナウイルスの感染終息への見通しが立たないなか、難しい判断となります。学生の皆さん、とりわけ地方から大阪に来られて一人暮らしをしている方などからすれば、早く方針を決定してほしいところだと思います。現段階においては、コロナ感染状況が今のまま推移すると仮定し、今回示した「レベル3」相当の対応になろうかと予想しています。ただし決定ではありません。今後、状況が変化し方針が変わる可能性もあります。決まり次第皆さんにお伝えしますので、大学からの情報発信に注意をしてください。

 特に秋期に関しては、キャンパスでの対面とオンラインの授業が共存することが予想されます。コロナ感染リスクを最小限に抑えながら、徐々に対面授業を増やしていきたいと考えていますが、オンライン授業がまったくないということはありません。春期のような授業形式もあると思ってください。オンライン授業を秋期も行うとすると、春期、皆さんが経験された授業がどうだったのか?検証が必要です。是非、いろいろなご意見を聞かせてください。学生の皆さんのご意見や感想などを把握して、今後の授業運営に活かしていきたいと思います。春は手探り状態でスタートしましたが、秋は春の経験や生じた課題などを検証総括し、改善を図ります。

 授業以外でも様々なことが懸念されます。特に、卒業年次の学生の皆さんは、卒業研究、論文作成に焦りを感じているかもしれません。就職活動など進路についても同様でしょう。担当の教職員に早めに連絡してください。必要となればこれらの活動について、事前に担当教職員と調整しコロナ対策を充分に施した上で、キャンパスにて実施することも認めていきます。

 これら以外でも課外活動や自主的諸活動でキャンパスにて活動を行いたいと考えている人もいるかと思います。各々、対象の部署に問い合わせてください。活動が停止している状況を何とか脱したいと思う気持ちはわかります。その時点での指標に照らし合わせ、感染リスクと諸活動とのバランスを見て判断することになります。

 皆さんの健康と命を守るため自らが移動することによる感染拡大を防ぐため一刻も早い平常の生活を取り戻すため、これまで対応策を考えてきました。これらの大目的は現在も変わりません。今、あなたに出来ることは何か?このような時間を有効に活用し、自分自身を見つめ直す良いきっかけとしてください。これからは大きく世界観、価値観が変わっていく世の中になると予想されます。これまでの常識が覆ることも想定しなければならないかもしれません。その際に右往左往しないよう、この機会に自分自身を磨き、知識、教養、人格の向上に努めるよう心がけてください。この夏の期間も読書など自分磨きを行ってください。このことがあなた自身の成長に繋がりますし、社会に対する責務でもあるからです。

 くすのきの葉蔭に集うあなたへ。私たち教職員はあなたが充実した学生生活を送ることが出来るよう、これからも精一杯の努力をします。新たな感染拡大が懸念されます。とにかく3密を防ぎ自分自身が感染しないよう、自らの行動を今一度、見つめ直してください。

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令和2年8月10日

大阪樟蔭女子大学 学長 北尾 悟

ニューノーマル「新常態」とは?
~アフター いや ウィズ コロナの時代~

 政府によって発令された特措法に基づく「緊急事態宣言」は、5月25日に全国で解除となりました。しかし、その後も日本国内での感染者ゼロの日はなく、社会経済活動の再開を望みつつ、何となく不安な日々を皆過ごしていることと思います。大学も一部の実験実習実技科目からキャンパス内での授業が行われるようになりましたが、原則として遠隔(オンライン)授業を継続し、感染リスクを少しでも回避する方策を取りながら対応しています。

 政府の専門者会議から「新しい生活様式」の実践例が提言されました。ニューノーマル「新常態」という言葉もしばしば耳にするようになりました。実践例には、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いという感染防止の3つの基本をはじめ日常生活のいろいろな場面での生活様式が示されています。その一例に、食事の際は「料理に集中、おしゃべりは控えめに」があります。1人なら構わないのですが、家族や友人と一緒に食事をする場合は、何か寂しいですよね。美味しい料理も味気なくなってしまう気分です。食事を味わうことで会話が弾み、コミュニケーションも進むのですが。。。。。。
 ただ、今回の新型コロナウイルス、ちょっと今までのウイルスとは違うようです。これまで人に感染するコロナウイルスは、今回の新型を含めて7種類あります。そのうちの4種類は一般的な風邪の原因の約10~15%くらい占めており、ほとんどの場合は軽症に終わります。「新型」とは言え、人類がこれまで遭遇したことのない全く「未知」のウイルスではありません。ですからウイルスの基本的な構造や感染から発症までの仕組みはわかっているので、それに応じた治療薬やワクチンの開発が進んでいます。
 しかしながら、感染しても症状が現れない、もしくは軽症で自覚がないということが、今回の新型ウイルスの一番厄介な点だと思います。そして治癒した人のなかにはあまり期間を空けずに再び感染する例も見られます。こういう事例からも健康な(健康そうに見える)人も感染拡大を引き起こす原因になるので、3つの基本をはじめとする「新しい生活様式」を実践していくしかないということです。「アフター、あるいはポスト」コロナと言う人もいますが、解明されていないことも多く、RNAウイルスは変異しやすいので、治療薬やワクチンの効果がすぐに現れることはなさそうです。このウイルスとは末永く付き合っていくしかないと感じますので、「ウィズ」コロナの表現が的確であり、「ウィズコロナ時代」にどう私たちは生きていくのかを考えるべきだと思います。

 私たちの日常は大きく変わりました。学生の皆さんはオンライン授業が継続しキャンパスに足を運ぶこともできず、友人とも直接会って話すことも難しい状況です。外出の自粛とともにスポーツイベントの中止、アルバイトもできない状態が続きました。ちょっと前までは考えられなかった状況となり、大きく様変わりした日常への対応に追われ、精神的にも不安定な人もいるでしょう。当たり前のことができなくなり、ストレスを感じている人も多いでしょう。SNS上ではいろいろな意見や発言が飛び交っていますが、中には自分本位で他人を傷つけるものも散見されます。普段なら友人や知人との何気ない会話のやり取りで、ちょっとした相談や意見交換ができますが、現状ではそういうことが難しいこともあるとは思います。ですが、こういう状況だからこそ、人としての立ち居振る舞いを基本とした「人間力」が求められのではないでしょうか?
 これまでの世界観、価値観が大きく変わる可能性があります。多くの人がこれまで常識としていたことが通用しなくなることが予想されます。非常事態、有事の際には、自分というものをしっかりと認識し、自分自身の中に倫理的そして美的な価値判断の軸を持つことが必要ではないでしょうか?自分の価値判断のものさしを持ち、周りの状況に流されず自らの人生を歩んでいかねばならないでしょう。

 またこういう状況だからこそ、人と人との関わりがより大事になります。この困難な状況を周りの人たちと互いに支え合い乗り越えていかねばなりません。人との関わりにある程度の制限があるので、コミュニケーションの質が重要となってきます。それには、豊かな言語表現のスキルが必要で、話し方も含めた日々の研鑽がより強く求められると思います。

 樟蔭学園では「樟蔭美」をコンセプトとして学園全体で教育プログラムを進めようとしています。大阪樟蔭女子大学は2017年にグランドデザイン「美 Beautiful 2030~美(知性・情操・品性)を通して社会に貢献する~」を提示し、学生の皆さんを教育面のみならず、学生生活全般にわたってサポートし、卒業後、美的センスを持ち社会で活躍、そして貢献できる女性を育てようと努めています。学生の皆さんにはキャンパスに集うようになれば、さらに樟蔭の良さを感じつつ成長してもらいたいものです。皆さんの素敵な笑顔を見ることを楽しみにしています。

 我が家の柴犬もこれまでの日常とは違うことを察知しているようで、時々夜中に遠吠えをします。ヒトと犬ではウイルスは感染しないようなので、彼とのソーシャル、いやフィジカル・ディスタンスを縮めてコミュニケーションを図ろうかと思います。

president0618.jpg令和2年6月18日

大阪樟蔭女子大学 学長 北尾 悟

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