大阪樟蔭女子大学公式サイト 学長だより 北尾悟

他者を感じるセンス~ウィズ コロナの時代に~

 さて、新型コロナウイルス感染拡大の影響で落ち込んだ経済状況を回復させるため、政府は「Go To キャンペーン」を開始しました。観光・運輸業、イベント・エンターテイメント業、飲食業などに携わる人たちの困窮を少しでも緩和することが目的です。一定の効果は見込めると思いますが、様々な課題が現実問題として露呈してきました。それは不正受給行為です。

 そもそもこのキャンペーンの財源は、2兆円弱の補正予算です。これは国債発行によってまかなうとされています。ある程度、人の流れを活性化して消費を促し、経済状況を上向きにするには、キャンペーンなどにより国民を鼓舞することは確かに必要です。感染リスクも伴い冷え切ったマインドの状態なので、号令だけではなくインセンティブを与えることも大事でしょう。ただ私利私欲に走り、自分だけ得をしようと考えるのはいかがなものでしょうか?こういう行為は、後々私たちの子孫に不必要な借金を負わせることになります。自分の行為が他の人たち、今、時を同じくして生きている人たちだけではなく、自分の子どもや孫の代など将来に渡り大きな負担を負わせることに気づいてもらいたいものです。

 コロナ禍の状況下、「他者を感じるセンス」がより一層求められるのではないでしょうか?この半年、ノーマルではないアブノーマルな生活を強いられ、多くの人たちが大なり小なり心身に変調をきたしたと思います。こういうときは自分のことで精一杯だと思います。しかし、人は自分以外の人たちと交わって生きています。仕事でも趣味でも恋愛でも、他の人たちとまったく関わらずには人生を送ることはできません。他者と良好な関係を築くことが今以上に求められると思います。

 以前、「他者をリスペクトするセンス」を養ってください、と伝えました。学生を含めた何人かの人から、「どうやって養ったらいいの?」「他の人をリスペクト、褒めることができない!」と質問や抗議?を受けました。私の拙文を読んでくれるだけでも嬉しいのですが、もっと気楽に向き合ってもらえればと思います。まずは他の人のことを思うことからでも構わないです。自分という人間以外の大勢の他者が存在してこの世の中が成り立っている、ということを意識するだけでも十分だと思います。

 人間の感覚は大きく5つあると言われています。見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触る。すなわち、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚という五感です。ここにもう1つ「他者を感じる感覚(センス)」を付け加えてみるのはいかがでしょうか?もちろん、この6つ目のセンスは既にある5つの感覚を介してもたらされるもので、学問的に同列に扱うことはできないことは重々承知しています。しかし将来どんなに科学技術が進展したとしても、いや進展すればするほど、「ヒト」として生きていくには、とても重要なセンスだと考えています。

1dog.png 6つ目のセンス、「第6感」という言葉があり、辞書によれば、五感を超えたものとされています。そう大げさに考えず「他者を感じるセンス」とは、人は大勢の人たちに囲まれて生きている、そういう大勢の人たちがいることを感じて生活する、それは過去も現在も未来も同じだ、ということ気持ちをもつことから始めてみてはいかがでしょうか。コロナ禍下、Go Toキャンペーンが正しく運用され、社会全体の景気が上向き、ほんとうに困窮している業者の方々に笑顔が戻ることを願ってやみません。

我が家の柴犬も常に第6感を養っています。後ろ向きの姿勢でも尻尾をセンサーにして周りの状況をサーチしています。

2020年10月14日

学長  北尾 悟

くすのきの葉蔭に集うあなたへのメッセージ  ~春期が終わるにあたって~

 春期が終了しました。学生の皆さん、遠隔(オンライン)授業、どうだったでしょうか?この春に入学された1年生はキャンパスでの対面授業の経験がないまま、オンライン授業を受け続けることになりました。また進級された2年生以上の皆さんも通常のキャンパスライフが制限され友人との語らいやクラブ活動も自粛となり、思い描いていた日常とかけ離れた現状にメンタルバランスを保つことが難しい人もいるかと思います。わたくしたち教職員も経験がない中、学修面を中心に学生の皆さんへのサポートを強化してきたつもりですが、皆さんへ十分に対応できなかったところもあったと思います。

 これからのことについて記したいと思います。

 8月17日(月)からの集中講義期間の授業方針を、樟蔭UNIPAや大学のホームページにてお知らせしました。個々の授業科目の実施方法(授業方法・日程・教室)の詳細については、樟蔭UNIPA掲示等で順次お知らせしますので、受講登録している皆さんは情報発信を確認し対応してください。その後の「実験実習実施特定期間(8月31日~9月24日)」や「秋期(9月25日以降)」での授業はどうなるのか、皆さんの関心も強いと思います。

 新型コロナウイルスの感染終息への見通しが立たないなか、難しい判断となります。学生の皆さん、とりわけ地方から大阪に来られて一人暮らしをしている方などからすれば、早く方針を決定してほしいところだと思います。現段階においては、コロナ感染状況が今のまま推移すると仮定し、今回示した「レベル3」相当の対応になろうかと予想しています。ただし決定ではありません。今後、状況が変化し方針が変わる可能性もあります。決まり次第皆さんにお伝えしますので、大学からの情報発信に注意をしてください。

 特に秋期に関しては、キャンパスでの対面とオンラインの授業が共存することが予想されます。コロナ感染リスクを最小限に抑えながら、徐々に対面授業を増やしていきたいと考えていますが、オンライン授業がまったくないということはありません。春期のような授業形式もあると思ってください。オンライン授業を秋期も行うとすると、春期、皆さんが経験された授業がどうだったのか?検証が必要です。是非、いろいろなご意見を聞かせてください。学生の皆さんのご意見や感想などを把握して、今後の授業運営に活かしていきたいと思います。春は手探り状態でスタートしましたが、秋は春の経験や生じた課題などを検証総括し、改善を図ります。

 授業以外でも様々なことが懸念されます。特に、卒業年次の学生の皆さんは、卒業研究、論文作成に焦りを感じているかもしれません。就職活動など進路についても同様でしょう。担当の教職員に早めに連絡してください。必要となればこれらの活動について、事前に担当教職員と調整しコロナ対策を充分に施した上で、キャンパスにて実施することも認めていきます。

 これら以外でも課外活動や自主的諸活動でキャンパスにて活動を行いたいと考えている人もいるかと思います。各々、対象の部署に問い合わせてください。活動が停止している状況を何とか脱したいと思う気持ちはわかります。その時点での指標に照らし合わせ、感染リスクと諸活動とのバランスを見て判断することになります。

 皆さんの健康と命を守るため自らが移動することによる感染拡大を防ぐため一刻も早い平常の生活を取り戻すため、これまで対応策を考えてきました。これらの大目的は現在も変わりません。今、あなたに出来ることは何か?このような時間を有効に活用し、自分自身を見つめ直す良いきっかけとしてください。これからは大きく世界観、価値観が変わっていく世の中になると予想されます。これまでの常識が覆ることも想定しなければならないかもしれません。その際に右往左往しないよう、この機会に自分自身を磨き、知識、教養、人格の向上に努めるよう心がけてください。この夏の期間も読書など自分磨きを行ってください。このことがあなた自身の成長に繋がりますし、社会に対する責務でもあるからです。

 くすのきの葉蔭に集うあなたへ。私たち教職員はあなたが充実した学生生活を送ることが出来るよう、これからも精一杯の努力をします。新たな感染拡大が懸念されます。とにかく3密を防ぎ自分自身が感染しないよう、自らの行動を今一度、見つめ直してください。

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令和2年8月10日

大阪樟蔭女子大学 学長 北尾 悟

ニューノーマル「新常態」とは?
~アフター いや ウィズ コロナの時代~

 政府によって発令された特措法に基づく「緊急事態宣言」は、5月25日に全国で解除となりました。しかし、その後も日本国内での感染者ゼロの日はなく、社会経済活動の再開を望みつつ、何となく不安な日々を皆過ごしていることと思います。大学も一部の実験実習実技科目からキャンパス内での授業が行われるようになりましたが、原則として遠隔(オンライン)授業を継続し、感染リスクを少しでも回避する方策を取りながら対応しています。

 政府の専門者会議から「新しい生活様式」の実践例が提言されました。ニューノーマル「新常態」という言葉もしばしば耳にするようになりました。実践例には、身体的距離の確保、マスクの着用、手洗いという感染防止の3つの基本をはじめ日常生活のいろいろな場面での生活様式が示されています。その一例に、食事の際は「料理に集中、おしゃべりは控えめに」があります。1人なら構わないのですが、家族や友人と一緒に食事をする場合は、何か寂しいですよね。美味しい料理も味気なくなってしまう気分です。食事を味わうことで会話が弾み、コミュニケーションも進むのですが。。。。。。
 ただ、今回の新型コロナウイルス、ちょっと今までのウイルスとは違うようです。これまで人に感染するコロナウイルスは、今回の新型を含めて7種類あります。そのうちの4種類は一般的な風邪の原因の約10~15%くらい占めており、ほとんどの場合は軽症に終わります。「新型」とは言え、人類がこれまで遭遇したことのない全く「未知」のウイルスではありません。ですからウイルスの基本的な構造や感染から発症までの仕組みはわかっているので、それに応じた治療薬やワクチンの開発が進んでいます。
 しかしながら、感染しても症状が現れない、もしくは軽症で自覚がないということが、今回の新型ウイルスの一番厄介な点だと思います。そして治癒した人のなかにはあまり期間を空けずに再び感染する例も見られます。こういう事例からも健康な(健康そうに見える)人も感染拡大を引き起こす原因になるので、3つの基本をはじめとする「新しい生活様式」を実践していくしかないということです。「アフター、あるいはポスト」コロナと言う人もいますが、解明されていないことも多く、RNAウイルスは変異しやすいので、治療薬やワクチンの効果がすぐに現れることはなさそうです。このウイルスとは末永く付き合っていくしかないと感じますので、「ウィズ」コロナの表現が的確であり、「ウィズコロナ時代」にどう私たちは生きていくのかを考えるべきだと思います。

 私たちの日常は大きく変わりました。学生の皆さんはオンライン授業が継続しキャンパスに足を運ぶこともできず、友人とも直接会って話すことも難しい状況です。外出の自粛とともにスポーツイベントの中止、アルバイトもできない状態が続きました。ちょっと前までは考えられなかった状況となり、大きく様変わりした日常への対応に追われ、精神的にも不安定な人もいるでしょう。当たり前のことができなくなり、ストレスを感じている人も多いでしょう。SNS上ではいろいろな意見や発言が飛び交っていますが、中には自分本位で他人を傷つけるものも散見されます。普段なら友人や知人との何気ない会話のやり取りで、ちょっとした相談や意見交換ができますが、現状ではそういうことが難しいこともあるとは思います。ですが、こういう状況だからこそ、人としての立ち居振る舞いを基本とした「人間力」が求められのではないでしょうか?
 これまでの世界観、価値観が大きく変わる可能性があります。多くの人がこれまで常識としていたことが通用しなくなることが予想されます。非常事態、有事の際には、自分というものをしっかりと認識し、自分自身の中に倫理的そして美的な価値判断の軸を持つことが必要ではないでしょうか?自分の価値判断のものさしを持ち、周りの状況に流されず自らの人生を歩んでいかねばならないでしょう。

 またこういう状況だからこそ、人と人との関わりがより大事になります。この困難な状況を周りの人たちと互いに支え合い乗り越えていかねばなりません。人との関わりにある程度の制限があるので、コミュニケーションの質が重要となってきます。それには、豊かな言語表現のスキルが必要で、話し方も含めた日々の研鑽がより強く求められると思います。

 樟蔭学園では「樟蔭美」をコンセプトとして学園全体で教育プログラムを進めようとしています。大阪樟蔭女子大学は2017年にグランドデザイン「美 Beautiful 2030~美(知性・情操・品性)を通して社会に貢献する~」を提示し、学生の皆さんを教育面のみならず、学生生活全般にわたってサポートし、卒業後、美的センスを持ち社会で活躍、そして貢献できる女性を育てようと努めています。学生の皆さんにはキャンパスに集うようになれば、さらに樟蔭の良さを感じつつ成長してもらいたいものです。皆さんの素敵な笑顔を見ることを楽しみにしています。

 我が家の柴犬もこれまでの日常とは違うことを察知しているようで、時々夜中に遠吠えをします。ヒトと犬ではウイルスは感染しないようなので、彼とのソーシャル、いやフィジカル・ディスタンスを縮めてコミュニケーションを図ろうかと思います。

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大阪樟蔭女子大学 学長 北尾 悟

くすのきの葉蔭に集うあなたへのメッセージ  ~遠隔授業を始めるにあたって~

 4月に入学された新入生の皆さん、進級された在学生の皆さん。すでにご周知のように、47日(火)に政府によって出された特措法に基づく「緊急事態宣言」と特定都道府県となった大阪府の要請を受け、大学のホームページでお知らせしたように530日(土)までのキャンパスへの立ち入り禁止を決定しました。

 しかしながら、その後、政府見解でも非常事態宣言の延長が示唆され、関西、大阪の状況も予断を許さないと判断し、皆さんの健康と命を守るため、自らが移動することによる感染拡大を防ぐため、一刻も早い平常の生活を取り戻すため春期、88日(土)まで原則としてすべての科目で遠隔授業(オンライン授業)を実施することに決めました。つまり、春期の授業期間中は小阪キャンパスへの立ち入りを禁止としました。

 この措置によって、これまで大阪樟蔭女子大学がもっとも大切にしてきた学生の皆さんと私たち教職員との出会いや交流を通した「面倒見の良さ」の実現がほとんどできなくなっています。自分の夢と目標を持って大学生活を送ろうとしているあなたから、いろいろな経験を通して学ぶ機会を奪い取ったコロナウイスルとその感染拡大に対して、やり場のない怒りを覚えます。それはあなたも同じだと思います。学生の皆さんの立場を考えると、前例のない状況への戸惑い、そして将来への不安を覚えているに違いないと思います。

 新入生は新たに始まる学生生活をスタートできず、小阪キャンパスでの対面授業を経験できず、友だちをつくる機会も奪われています。在学生も同じ状況です。専門分野での学びが進んでいき、研究テーマを深めるためにゼミや研究室に行くことすらできない状況です。学友と勉強以外のファッションや恋人の話など楽しく語らうことを妨げられ、すべてのクラブやサークルの活動も停止されて、キャンパスは静まり返っています。またアルバイトもできなくなり生活費が心配な人もいるでしょう。そして最上級生は、これまでと様相が違う就職活動に戸惑っていることと思います。相談会や採用面接など対面での行事が中止や延期となり焦っている人もいるでしょう。

 このような状況ではありますが、私たち大阪樟蔭女子大学は、大学教育を皆さんに提供し学修の場を確保していかねばなりません。大学は、原則として5月11日(月)から88日(土)まで「インターネットを利用した遠隔授業」を本格的に実施することを決定しました。これまで実施してきた対面授業と比べると、インターネットを利用した遠隔授業にはさまざまな制約が想定されます。でも私たち教職員は、あなたのために精一杯努力しようと決心しました。初めての取組みであるため、最初はうまくいかないことがあるかもしれませんが、少しでも良い授業を提供したいと考える教職員と、授業の開始を待ちわびている学生の皆さんが、どうか力をあわせてこの困難を乗り越えてほしいと願っています。

別に通知した「遠隔授業に対するメッセージ」も一読して、授業準備を行ってください。先にお知らせしました「遠隔授業に関する支援」として3万円を支給することとしました。いろいろなご意見があるかと思いますが、理事長の思いとして、少しでも皆さんが円滑に受講できるように決定していただきました。私たち教職員はその意を受け、今後しっかりと授業を提供できるよう努めていきます。受講登録、教科書販売などこれまでも不明な点があり質問など大学に寄せていただきましたが、今後も何か分からないこと、不安に思っていることがありましたら遠慮なく、アドバイザー、科目担当者、担当部署などに相談してください。

そして、どうしても皆さん、あなたにお伝えしたいことがあります。ほんの半年前までこんな世界が来ようとは皆思っていなかったと思います。突然、新型コロナ感染症の拡大という災難が降りかかってきた!と思っている人が多いと思います。しかしコロナウイルスの存在は前から知られていました。感染症対策など公衆衛生のノウハウも人類は蓄積していました。けれども感染拡大が起こりました。なぜでしょう?それは、我々人類の驕りが原因だと私は思います。歴史は繰り返します。14世紀にはヨーロッパを中心にペスト菌が猛威をふるい、感染症により1億人が命を落としたと推計されています。時代が移りいきましたが、今回の新型コロナウイルス感染の場合、グローバル化に伴い全世界が等しく災難に見舞われています。どんなに人類が優れているといっても、それを超えて自然の存在ははかり切れないくらい大きいのです。大自然の中では人類は単に1つの生命体に過ぎないことを自覚することが必要です。その前提に立って、わたくしたち一人一人としてこの困難に立ち向かっていかねばならないのです。

まずあなたに出来ることとして、不要不急の外出は避け、自分自身を見つめ直す良いきっかけとしてください。なぜ自分自身を見つめ直すのか?それは、これから大きく世界観、価値観が変化するかもしれないからです。これまでの常識が覆ることも予想されます。その際に右往左往しないよう、この機会に自分自身を磨き、知識、教養、人格の向上に努めるよう心がけてください。このことがあなた自身の成長に繋がりますし、社会に対する責務でもあるからです。

くすのきの葉陰に集うあなたへ。私たち教職員はあなたが充実した学生生活を送ることが出来るよう、精一杯の努力をします。笑顔が素敵なあなたと一刻も早く小阪キャンパスで会えることを念じています。しばらくは外出が制限され自粛生活が強いられますが、いつか感染終息の日がやってきます。それまでは感染防止に細心の注意を払いながら、遠隔授業を中心に時間を有意義に過ごしてください。

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令和2年5月2日

大阪樟蔭女子大学 学長 北尾 悟

令和2(2020)年度 入学式式辞

 本日晴れて大阪樟蔭女子大学大学院ならびに大阪樟蔭女子大学に入学された新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。桜の花が満開に向かう中、すべての教職員とともに、皆さまの入学を心から歓迎いたします。
 そして、皆さまを今日まで育て、勉学を支えてこられたご家族をはじめ関係の方々にも、心よりお慶びを申し上げます。

 新入生の皆さまが入学された大阪樟蔭女子大学の運営母体である学校法人樟蔭学園は、1917年、大正6年に設立された樟蔭高等女学校がその歴史の始まりです。創立以来100年を超えた歩みを刻んでいます。また、大学も昨年、創立70周年という節目の年でした。次の時代に向けて皆さまと共に、これからの新しい樟蔭物語を作っていきたいと思います。

 昨年11月に大学創立70周年記念フォーラムを開催しました。そのフォーラムのタイトルは、「今、なぜ『美』の感性・意識が求められるのか?~私の"樟蔭美"がこれからの時代を生きる軸になる~」でした。ここで示した"樟蔭美"とはどういうものなのでしょうか?

 樟蔭学園では、創立者・森平蔵の思いである建学の精神、「高い知性と豊かな情操を兼ね備えた社会に貢献する女性の育成を目指す」が、100年経った今でも色褪せることなく受け継がれています。この間、10万人を超える卒業生を社会に輩出し、様々な分野で活躍されている方が多くおられます。時代が移りかわり、今後AIをはじめ先端技術が高度化し、社会のあり様が大きく変化しようとも、樟蔭で培ってきた精神は、これからも自信をもって評価されるべきものだろうと思います。

 実際、記念フォーラムのパネルセッションでは、在学生、卒業生が参加し、自分の夢・目標をしっかりと表現してくれました。在学生は現在、興味があり取り組んでいること、樟蔭での学び、そして将来に向けた抱負について、自分軸を定め前向きな気持ちで学生生活を送っている様子を楽しそうに話してくれました。また卒業生は、樟蔭で学んだこと、人とのつながり、これらが現在の仕事にも繋がっていることを在学生へ伝えてくれました。皆、日常生活を送るうえでの判断基準、ものさしを持ち、考え方、価値観を身に付けていることを示してくれました。まさしくこれが"樟蔭美"であると実感しました。フォーラムでは"私たちの樟蔭美"というテーマに沿ったポスターセッションも行い、すべての学科の学生が、各々、様々な場面で活動している様子を発表してくれました。すごく頼もしく感じ、嬉しい気持ちになりました。

 これからの世の中、皆さまが社会で活躍する次の時代は、今よりもっとよくなってほしいと願っています。先ほど述べたAIをはじめ多くの分野で科学技術が進展、高度化していき、生活はどんどん便利になっていくでしょう。

 便利になることは良いことではありますが、その便利さに甘えてしまうと、身体は元より物事に対する考え方、感受性が退化してしまう恐れがあると私は思います。例えば、皆、携帯電話、スマートフォンを持っていますよね。いろいろな情報を瞬時に手に入れることができ、大変便利です。でもいつでもどこでもアクセスできるので、何か分からない時には安直に答えを求めようとしていませんか?深く物事を考えるよりも、直ぐに正解を求める風潮になってきているのでは、と危惧しています。深い考察なしに結果だけを求めると、もし何か問題が生じた場合に必要とされる解決能力が減退していくでしょう。今後、益々、価値観が多様化し正解のない問いがあふれる世の中になると予想する人もいます。となるとフォーラムに参加した在学生や卒業生のように、誰かの意見に流されず、自分らしい生き方の軸を持つ必要があります。

かの偉大なファッションデザイナー、ココ・シャネルはこう言っています。

「美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる」

大阪樟蔭女子大学は、2030年に向けたグランドデザインを提示しました。そのスローガンは、「美(知性・情操・品性)を通して社会に貢献する~美 Beautiful 2030~」です。ここでいう「美」とは単に外見上のものではなく、むしろ内面から醸し出される美しさであり、教養があり立ち居振る舞いに品がある洗練された「樟蔭美」を意図しています。フォーラムに参加した先輩たちのように自分軸を持ち、知性・情操・品性に裏打ちされた芯のある人に成長していくよう、これからの樟蔭での学生生活を送ってもらいたいと思います。皆さまが成長できるよう、私たち教職員一同、様々なプログラムを準備しサポートの充実を図っていきます。

 コロナウイルス感染拡大の中、様々な情報が飛び交い、行動様式をはじめ「人間力」が問われています。これまで培ってきた樟蔭美をさらに磨きをかけ、新しい時代に即した教育展開を図っていく必要があると感じています。新入生の皆さまには、私たちの思いを受けとめ、対応してもらいと思います。そこで、外出や人の集まりが制限されることもあり、一つお願いしたいことがあります。

 それは「読書」です。本を読むことによって自分が知らないことを吸収してください。文章を追うことにより、様々な人に出会い、様々な場所を旅し、様々な考えを知ることができます。知らない言葉や表現に触れ、コミュニケーション能力も身につくことにもなります。「読書」を通して、価値観や世界観が養われ、自分軸を作ることに繋がっていくと思います。

 自分軸を作るということは、あなたらしくということです。

「美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる」

 新入生の皆さまが、「読書」を通して自分軸の形づくりを開始し、通常生活に戻ったときに、樟蔭美、「美 Beautiful」な充実した学生生活を送ることを願って、私の式辞の結びといたします。

 皆さま、ご入学、まことにおめでとうございます。

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令和2年4月1日    
大阪樟蔭女子大学 学長
北尾 悟       

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