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【臨床心理学専攻】対象関係論を学ぶ初学者のための事例検討会について

2016年11月04日

 9月19日(月・祝)に,対象関係論を学ぶ初学者のための事例検討会が行われました。
臨床心理学を実践する土台となる理論には,様々な学派があります。本学にはその中の1つである対象関係論を専門にされている先生がいらっしゃることもあり,授業終了後有志が集まって定期的に「クライン研究会」が行われています。今回はその研究会メンバーを中心にしつつ,それ以外にも5つの大学から対象関係論を学んでいきたいと思っている院生,修了生が集まって事例検討会を行いました。この会は年に1回開催されており,今年で5回目となりました。
 初回から,講師には京都大学名誉教授 松木邦裕先生をお迎えしています。松木先生は豊富な臨床経験をもつ日本を代表する精神分析家で,英国対象関係論の理論と実践における第一人者として沢山の著書を発表されています。また,本学で2月11日(土)に行われます,平成28年度 秋期公開講座第16回心の相談コロキアム「人はなぜこころを病むのか」でもご講演いただく予定です。

 本事例検討会は,松木先生による講義と事例検討の2本立てで行われています。
 今回の講義は,対象関係論に基づいた心理療法の基礎について,初学者である私たちにもわかりやすいよう,噛み砕いた講義をしていただきました。講義は理論的な内容に限らず,松木先生の臨床経験を具体例として示していただき,夢中で聞き入ってしまうものでした。
 続いて事例検討が行われ,今回は私が担当している心理療法のケースについて発表をさせていただきました。これまで本大学院内で毎週行われているカンファレンスで事例を発表したことはあったものの,外部で発表するのは初めての経験であり,とても緊張しました。しかしながら,そんな緊張も吹き飛ぶ程,参加メンバーから,こういうことが考えられるのではないか,自分だったらこうすると思う等,積極的な意見をもらい,活発なディスカッションが行われました。松木先生からは今回発表した事例についての理解や,今後の進め方等についてコメントをいただきました。対象関係論の理論と実践における第一人者である松木先生にコメントをいただいたことで,学びを深めたい気持ちが更に高まりました。

 また本事例検討会では,事例検討会終了後に懇親会も行っていて,これから臨床経験を積んでいく同世代の人たちと交流ができる貴重な機会にもなっています。横の繋がりがあることで,仲間に刺激を受けて学びへの意欲が高まるだけでなく,困った時にはお互い支え合う等,良い臨床をしていく上でも大切なことだと感じています。

研修員 M.T.