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【臨床心理学専攻】第16回心の相談コロキアムが開催されました。

2017年04月04日

 2月11日(土・祝)に第16回心の相談コロキアムが開催されました。

 精神分析の中心地であるロンドンのタビストックへ留学して対象関係論を学び、豊富な臨床経験を持つ日本を代表する精神分析家である京都大学名誉教授の松木邦裕先生を講師にお迎えし、「人はなぜ こころを病むのか」をテーマに講演をしていただきました。

 大阪樟蔭女子大学大学院の修士課程1・2回生や研修員も、一般の方々と一緒に受講し、「人はなぜこころを病むのか」について理解を深めることができました。

 講演では、 松木先生の臨床経験の具体例を通して、“病んでいるころ”、“健康なこころ”とはどのような状態なのか、心を病むことの背景に何があるのか、こころへの支援はどのように行うのかについてお話して頂きました。

 そして、人によって表れる症状や、症状のきっかけ、発症する時期等は様々ですが、症状の背景には生まれてから今までの間に体験した、挫折や喪失、傷つきや裏切りといったつらい経験の積み重ねがあるということを学びました。

 松木先生のお話の中でも特に印象に残ったのは、ある精神分析的心理療法を終えた女性 が言った「病気になる前よりも楽になった」 という言葉です。深く絡まり合った、つらい経験、その際に負ったこころの痛み、苦しみを精神分析によって解いていくことが、単に症状をなくすだけでなく、その人のこれからを支えて行く基盤となるのだろうと感じました。

 今回のコロキアムでこころを病む状態とは、喪失を受け入れるこころの作業がうまく出来ずにいることが背景にあるということを学び、“病んでいるこころ”へ支援を行 う際の新たな視点を得ることができました。今回得た学びと視点を、これから臨床現場でこころへの支援を行う際に活かしたいと思います。

修士課程1回生 H.M.

2月11日第16回心の相談コロキアム