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【臨床心理学専攻】カウンセリングセンター第18回心の相談コロキアムへ参加レポート

2019年03月19日

 本年度の心の相談コロキアムは、第18回目を迎え、2月2日に本学円形ホールにて開催されました。風景構成法の第一人者である皆藤章先生を講師にお迎えし、『現在人の生と死 -心理臨床の実践から生と死を語る-』というテーマで講演していただきました。

 講演では、皆藤先生のボストンで生活する中での夢のお話から始まり、恩師である河合隼雄先生のお話など、その興味深い内容に、私はどんどん皆藤先生の世界に引き込まれていきました。

 そして本題となる死生観のお話では、余命何か月と宣告をされても、自分自身が残りの人生をどのように生きたいのか選択する権利がみんなそれぞれにあるということを、癌を患い亡くなられた女優の樹木希林さんのお話を交えながらお話してくださいました。

 私が特に心に残った言葉は、「ひとの『生きる』に当たり前はない。ひとは機械ではない。ひとは長寿と健康だけをめざして生きるのではない。」という言葉です。科学的な数値や統計だけではない、目には見えない魂が私の命であるという言葉に感動を覚えました。

 また、皆藤先生の「不可避の予期せぬ事態が生じたとき、わたしにとって、真にかけがえのないものとは、いったい何なのでしょうか。」という問いの言葉に、改めて自分の心と会話する機会をいただきました。「真にかけがえのないもの」を探し求めることが、生きるということであり、死ぬということであり、私を生きるということなのだということを学びました。

 講演の最後に、ハンセン病患者である塔さんの詩が流れました。名前を失い、家族を失い、隔離された生活を余儀なくされた塔さんの詩には、「かかわらなければ、路傍の石」という、とても悲しくつらい言葉が綴られ、私に関わることの大切さを教えてくださった詩でした。また、半生にわたりハンセン病患者と関わった神谷美恵子さんは、人の物語を聴くとき、謙虚な姿勢で、ただただその人の語りを命の語りとして聴くというお話がありました。私は胸が熱くなりました。

 出逢いによって関係を生み、関係は愛を通して育まれる。

 短い時間でしたが、皆藤先生のお話の中にも、いろんな人の言葉や詩との出逢いがありましたことに、心から感謝いたします。今日のお話から学んだことを、これからの臨床現場で出逢う人に活かしていけるよう、今後も学びを深めていきたいです。

 

                             修士課程1年 H.K