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樟蔭レポート

やっと雨が降りました。去年の夏はものすごい猛暑でした。ここ数年、フードスタディコースの樟蔭キッチンガーデンとフィールドクラブの畑の水やりをしてきましたが、昨年は、キッチンガーデン近くのサクラの水不足による消耗が激しく、夏休み中、出勤できるときにはほぼずっと水やりしていました。

その横にある、キャンパスプラザ野外ステージ前の芝生もサクラ同様に水不足で葉が縮まっていました。このままでは枯れてしまい、2学期の芝生が必要なときには緑がなくなるという状況が予想できました。そこで芝生への水やりも同時に行っていたわけです。

水やりをしながら、あたりに出ている植物たちを見ていて気になるものがありました。芝生面から出た葉と同じ位置から写真のようなものが伸びていました。

花ではないので、種子植物ではなく、コケ植物でもなく、シダ植物の仲間であることまではすぐにわかりました。シダ植物は知っていますか。身近なところでいうならば、正月のしめ縄に付いているウラジロがシダのなかまです。シーズンは過ぎましたが、ワラビ、ゼンマイ、ツクシもシダのなかまです。

芝生に出ていたシダの成熟した姿は次の写真のようなものです。

ハナヤスリというなかまに属するシダ植物です。SNSに投稿して情報を集めてみたところ、以前からつながりのある、シダ植物の図鑑をまとめておられる日本におけるシダの大家から連絡が来ました。「大阪では発生記録がないチャボハナヤスリかもしれない」
ハナヤスリが発生しているあたりの一部を、芝刈りをしてくれている業者さんにも断りを入れた上で、囲みをして成熟するまで保護してきました。自分でもハナヤスリのなかまの検索表を見て、ハマハナヤスリという種に一番近いだろうと判断していました。シダの大家から下った判断の概要は、

このサイズならチャボハナヤスリにするのは苦しい。このところの少雨も考え、植物体が小さくなっていることも考える必要がある。一見するとコハナヤスリとハマハナヤスリの中間のようだが、コハナヤスリ自体がハマハナヤスリとコヒロハハナヤスリとの雑種(起源)とも見られ、判断が難しい。胞子はお写真から正常のようですね。世界に30種ほどあるハナヤスリ類の外来も考える必要があるかもしれない。その場合は、北米にあるOphioglossum engelmanniiなどが候補になるだろう。

胞子の写真は次のようなものです。

胞子が形成されるときの細胞分裂がうまくいかない状態ならば、胞子の大きさにばらつきが生じます。これは大きさがそろっているので正常ということです。

けっきょく、チャボハナヤスリではなかったのですが、外来種まで考えなければならないとなれば専門家ではない自分にはお手上げです。そして日本在来種としても、専門家でもなかなか難しいものだということのようです。

その他の細かい特徴を観察するために、数個体掘りあげて押し葉標本を作製中です。ハナヤスリのなかまを観察したのは今回が初めてで、とてもよい勉強になりました。

そして、ハナヤスリの観察の傍ら、雨上がりの芝生に写真のような黒い部分が目立ちました。

ちょうど高3生の生物の授業で紹介していたイシクラゲというシアノバクテリアのなかまのようです。

採集してきて、授業中に顕微鏡観察してもらいました。次の写真は、ある生徒が撮影したものです。

丸い小さな細胞が数珠のようにつながっています。シアノバクテリアのなかまのネンジュモのなかまになります。

あちこち観察して回ると思わぬ発見があり、それを追求すると楽しくかつためになることが多いです。

 

大久保雅弘(理科:地学、今年は生物も)