morebtn_bgfblinetwscope-invertscopepagetop_arrowblog-latestmorebtnvtickpagenextpageprevpagetophsjhshomecresthshomejhskindamasteruniv
樟蔭レポート

今年度の夏休み期間を利用し、近畿大学で2日間行われた「実物の原子炉を視て、触れて、運転してエネルギー・環境問題を考える」という題目の講習を受講しました。

実物の原子炉を持ち、さらに稼働している大学は全国でも京都大学と近畿大学のみらしいです。
近畿大学の原子炉の特徴としては、「とても出力の小さな原子炉」ということです。どれほど出力が小さいかというと、最大出力はなんと1W!!例えるなら、豆電球の明かりを点けることができる程度の出力です。そのため、原子炉で発生する熱が極僅かとなり、冷却する必要がなく、保守・管理が容易で安全性も高くなっています。
また、炉心からの漏洩放射線量もとても低くなります。実際、稼働中の原子炉の上に直接立たせてもらっても、何の問題もありませんでした。世間のイメージでは「原子炉=発電」かもしれませんが、近畿大学の原子炉は発電するための原子炉ではないということです。では、何のための原子炉かというと…実験炉としての役割を果たしています。つまり、植物の種やマウスに低い放射線を浴びせ続けたときに、どのような作用をもたらすのか、などを調べるための原子炉ということでした。

講習初日は、原理力や原子力の基礎知識を学んだ上で、実際に原子炉を稼働し停止させるまでの運転実習をさせていただきました。座学で理解している部分も、原子を稼働させることで理解が深まる部分も多くありました。そして、原子炉を利用した「中性子ラジオグラフィ」も体験させていただきました。中性子ラジオグラフィとは、いわゆるレントゲン写真のようなものです。ただ、レントゲン写真ではX線を利用していますが、中性子ラジオグラフィでは中性子線を利用します。どちらも同じ放射線ですが種類が異なります。放射線は物質を透過するのですが、透過の仕方は放射線の種類によって異なります。そのため、X線を用いた場合は主に物質内の電子密度分布に関する情報(原子番号の大きい元素)が得られます。中性子線を用いた場合は主に水素のような軽い原子の密度分布に関する情報が得られます。講習では、同じものをX線と中性子線を用いて撮影しました(以下の写真)。左側がX線、右側が中性子線で撮影したものです。X線で撮影した方には、缶ケースやダーツの先、さば缶の骨など金属の部分が映っているのに対し、中性子線で撮影した方には、缶ケースの中身やダーツの持つ部分、さば缶の液体など、水素を多く含む物質が映っているのが分かります。このような特徴を利用し、中性子ラジオグラフィは自動車燃料の燃料動作検査、爆発物探査、文化遺産や絵画の非破壊検査などに応用されているとのことでした。

講習2日目は、放射線の健康影響や放射線の性質を、計測実習を通して学んだり、霧箱を作成してβ線を観察させていただきました。メディアで放送されている内容が、一部誤解をうんでいることや、東日本大震災によって日本の原子炉が受けた現状など、非常に興味深いに内容ばかりでした。今回の講習から学んだことを、今後の授業にも活かせることができればと思います。

理科教諭 小嶋