この劇団の最大の特徴であるシンプルな舞台作りがこの『オセロー』にも十分に活かされ、悪漢のイアーゴーの甘言に翻弄される主人公オセローの苦悩、ひたすらオセローに尽くしながら殺されてしまうデズデモーナの哀れさが、ひしひしと伝わってくる舞台作りになっていました。今回の演出が、この芝居の中心テーマである「嫉妬」と「復讐」に絞り込み、一つのところへ収斂していくダイナミックな表現をめざしていたため、よりわかりやすい舞台になっていたことが、最終場面での大きな感動を引き起こしたのだと思われます。
なお、『オセロー』公演に先立ち、5月22日(土)に本学名誉教授でシェイクスピア学者の鳥井清氏による『オセロー』のあらすじと見どころ、およびこの劇団のユニークな特徴の解説が行われました。
「嫉妬」をテーマにしたこの芝居におけるイアーゴーの奸計とそれに取り込まれるオセロー、その間で翻弄されるデズデモーナなど配役の妙とシェイクスピアが書いた名台詞の解説が行われ、本公演への期待が高まるものとなりました。来場者からは「本番の芝居を見るのが楽しみになってきました」という声が多数聞かれました。
英国の劇団によるウィリアム・シェイクスピア作「オセロー」公演。「オセロー」はシェイクスピアの4大悲劇作品の1つであり、かつ代表作です。日本語字幕付きで本場の英語劇をフルバージョンでお楽しみいただきます。この劇団の公演は樟蔭では今回が7回目で、これまで毎回大好評をいただいております。シンプルな舞台作りと少人数の劇団員が早変わりで群雄劇を演じる演出の妙をお楽しみください。公演に先立つ日程で、本学の鳥井清名誉教授による講演「オセローの見どころ」の解説も行われます。