大阪樟蔭女子大学

2008年3月29日土曜日 樟蔭子育てセミナー 親子で遊ぼう おもちゃ、絵本、音楽といった身近な児童文化を紹介するとともに、それらを通じた親子のコミュニケーションの促進について

有田おもちゃ博物館館長 西田明夫氏 積み木遊びワークショップ
■積み木遊びの実演と親子での体験

 積み木遊びの実演では、30年前から作り続けられてきている海外の積み木が使用され、子ども達とコミュニケーションを図りながらの楽しい雰囲気で展開された。日本では3年間であっても一つのおもちゃが作り続けられている例はない。西田氏は、おもちゃはシンプルで単純なものの方が遊びは豊かに広がっていく、飽きずに集中して遊ぶことで集中力が養われ、積み上げていくことで体のバランス力が自然と育ち、体の訓練に繋がると提言された。また、積むだけでなく落として遊ぶ遊び方など私達のこれまでの積み木の概念を覆すような新たな遊び方を次から次へと提示され、積み木遊びの奥の深さを改めて感じさせられた。

 一見幾何学的な形態のただの積み木が西田氏の手にかかると手品のように様々な形が繰り出され、子ども達は終始食い入るように目を輝かせながら見入っていた。完成すると親子の「わぁーっ」という歓声とともに拍手が会場から沸き上がり、親子で顔を見合わせて笑う様子が非常に印象的であった。



神村明佳氏 大阪樟蔭女子大学専任講師(2)絵本ワークショップ
■絵本との出会い 赤ちゃんと楽しむ色と音(乳児向け)

 乳児向け絵本のワークショップでは、実際に参加されている乳児の月齢を例に挙げ、その時期の乳児はどのようなことに興味を持ち、何を楽しいと感じ反応をするのか等、発達段階を追っていきながらいくつかのリズムや音の絵本、繰り返し技法が使われている絵本を提示された。読み聞かせも交えながら実際母親に反応を感じ取ってもらうことで、理論と実践とを繋げながら解説された。


■絵本とおはなし 言葉のおもてなし(幼児向け)

 幼児向け絵本のワークショップでは、虫の視点から描かれている絵本や物語絵本など視点の違う絵本の読み聞かせが行われた後、『おはなしのロウソク』が語り手の側に一本灯され、素話が一話お話された。普段はテレビや様々な音で囲まれながら生活している子ども達も、神村氏の独特な柔らかい語り口調とろうそくの温かい光と揺れる炎の中、みるみるうちに物語の世界へと吸い込まれていった。会場いっぱいの子ども達が一瞬にして静まり返り、お話の声に真剣に耳を傾ける子ども達の顔がとても印象的であった。最後は手遊びを行い、おはなしのロウソクは子ども達の願いを込めて吹き消された。子ども達が欲している物語を展開するだけではなく、落ち着いた雰囲気の中、想像を豊かに巡らせることのできる環境づくりも非常に参加者に好評であった。


佐野美奈氏 大阪樟蔭女子大学専任講師 (3)音楽表現遊びワークショップ
■音楽を聴いて遊ぼう

 音楽表現遊びでは、広いスペースを思いっきり使って行う活動がいくつも盛り込まれており、なかなか家ではできない親子の表現活動が展開された。ピアノ演奏に合わせてダイナミックに体を使いながら動き回る活動を中心に、フラフープやボール等を使用し親子の触れ合いが密にとれ、子ども達はいきいきと活動を行っていた。参加するまでは知らなかった者同士が一緒に体を動かし楽しむ活動を通して、参加者同士の横の繋がりが広がっていく様子が伺えた。活動中、会場いっぱいに子ども達の楽しそうな声と笑いが響き渡り、乳児は直接活動に参加することはできなくても音に合わせて体を動かしたり、幼児が楽しんでいる表情を見て楽しさが次々に伝わっていく様子が見受けられた。

 手遊び歌では、一人で行えるものから親子で交代にスキンシップを交えて行うもの、そして昔から伝承されてきている手遊びが紹介され、家へ帰ってからも親子での触れ合いが広がるよう展開されていた。



2007年度SHOIN子育てセミナー活動報告

 今回の子育てセミナーでは、積み木・絵本・音楽表現という分野の異なる視点から、それらの媒介を通して親子がどう向き合い、子ども特有の世界観を親子で共有していくことの重要性や方法がそれぞれから提案され、親子のコミュニケーションの促進が図られた。

【参加者統計】
参加者: 104名(大人53名、子ども48名、学生3名)
性別: (男性5名、女性41名 男児22名、女児26名)
大人年代: (20代7%、30代58%、40代21%、50代10%、60代2%、無回答2%)
子ども年齢:

男児(0歳1名、1歳4名、2歳5名、3歳4名、4歳3名、5歳以上4名、無回答1名)
女児(0歳1名、1歳2名、2歳4名、3歳6名、4歳2名、5歳以上11名)

地域: (東大阪市65%、香芝市2%、大阪府14%、奈良県17%、その他2%)

 親子が一緒になって楽しむことのできる参加型の活動に対して、「これからも是非やって欲しい」「乳児向け対象のワークショップをもっとやって欲しい」等のご意見が参加者から多数寄せられた。今後このようなことも踏まえながら、本学生が地域の方々と関わる機会を増やし、子育てに役立つ知識も盛り込むことで地域の子育て力の向上を図ると共に、学生にとっての生きた学びや実践の場としても活かしていきたいと考えている。

子育て支援開発センター長 菊野春雄




  
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