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樟蔭レポート

世の中には「晴れ女」や「雨男」と称せられる人達がいます。その逆の方も。しかし、おもしろいことに「晴れ」の皆さんは自称されることが多いのに対して、「雨」の方はたいていの場合、「〇〇さんのせいだ」と周囲から無実の罪を着せられ、仕事であれ私事であれ、時には迷惑がられることさえあります。相手は人の力の及ばぬ自然であるのに、まったくもって迷惑千万なことです。自分にそんな力があったなら、干ばつに悩む地域に出向いて行って、人助けの一翼を担ってやるさと言ってみたくなります。

 

英語ではどういうのかな? ふと気になって調べてみました。男女を問わずrain bringer(雨を持ってくる人)というそうです。ちなみに、「晴れ女(男)」にあたる言葉はないようで、「私が出かけるときには、いつも晴れる」とそのまま英訳するか、さらに「幸運なことに」などという修飾語を付け足すぐらいだそうです。rain bringerに、日本語の「雨男」や「雨女」に込められた批難めいたニュアンスや相手を揶揄する気持ちが、果たしてどの程度込められているかは知りませんが、日本語よりも何となくいい感じがします。「持ってくる」「運んでくる」という言葉の目的語に「プレゼント」や「幸せ」を連想するからでしょうか。「雨をもたらしてくれる人」いい響きだと思いませんか。作物の成長に太陽の恵みはかかせないことは当然ですが、同時に雨が降らないひでりの夏は涙を流さなくてはなりませんから。

 

私は、休日は時間の許す限り山歩きを楽しんでいます。たまには家で休息したらとよく言われますが、私にとって自然の中に身を置き、野山をめぐり、新鮮な空気を呼吸することこそが、身体的にも、精神的にも何よりもの休息なのです。ですから、何かの都合で山に行けない日が、二週、三週と続くと、体に変調をきたします。やっと取れた休日の山行が、雨に祟られようものなら、それはもう意気消沈、一日何をして過ごそうかと困り果ててしまいます。そんな雨の休日は、朝から晩まで、徹底的に本の世界に入り込む、これに勝る過ごし方はありません。日頃、本を読む時間は、通勤の電車内ぐらいしか取れないのが悲しい現実です。読書に没頭するあまり列車を乗り越した経験をお持ちの方は、きっと私だけではないでしょう。就寝前の読書は寝てしまうか、逆に目が冴えると翌日の生活に差し障ります。とかくにこの世はままなりません。時間はいくらあっても足りません。生徒の皆さんも、特に受験生の諸君は同じではないでしょうか。

 

雨の休日は、こんな私に天が与え給うた貴重な時間です。たとえ誰かと一緒だとしても、山歩きが、雑踏にまみれた現実から離れ、自己を見つめることのできる時間だとすれば、これは読書も同じではありませんか。本が与えてくれる感動は、四季の移ろいや美しい景色がもたらす感動と同じものです。晴れであっても、雨であっても、心を耕やす時間であることに変わりありません。

 

百田尚樹氏を迎えて、2月23日(土)、樟蔭中学校・高等学校PTA講演会が開催されます。広く皆様にご参加を呼びかけたいところですが、学内行事のため、本校の保護者の皆様へのご案内となります。『永遠の0』『BOX!』『海賊とよばれた男』など数ある氏の名作の中でも、私は聖夜に素敵なプレゼントがもたらされる『輝く夜』が好きです。どのようなお話を聞かせていただけるのでしょうか。名ストーリーテラーに運んでいただける感動のひとときが楽しみです。

6年一貫コース担当 中学教頭 松尾隆之