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樟蔭レポート

つい先日,本屋で立ち読みをしていたら,「女子校力」という本を見つけました。興味を持ったのでそのまま購入して読んでみたら,意外と面白かったので,今回は少しだけこの本を紹介します。

 

今流行りの「××力」のシリーズ。あちらこちらでいろいろな「力」がテーマになっています。私はこの本を見た時,ついに「女子校」までテーマになったのかと少し驚きながら手にとってみました。出だしがまず興味を惹きました。こんな導入です。

 

女子校離れと言われて久しい,ということをご存じだろうか。

クラスの半分が中学受験をするという公立小学校の高学年になると異性を意識しはじめます。小学生どうしの男女交際もあります。そういった環境にいる女児たちは親に女子校を進められても,『女子校は楽しくなさそうだから行きたくない』と言いますね」・・・・

 

これを読んで,かなり内容が気になりました。そして,ざっと読んでみた次第です。この後に中学受験産業の大手「日能研」の毎年七月実施の志望校調査のデータが紹介されていて,志望理由の一位が男女とも2011年,2012年連続で「交通の便がいいから」でした。二位,三位あたりには「過去から継承している教育理念・校風」「現在の校風」「未来への期待・学校の熱意」と続くそうです。その後男子の場合は「大学実績が良い」,女子の場合は「共学校だから」と違いが表れてきます(この「共学校だから」は,女子の場合,2011年は四位,2012年は五位,男子の場合,2011年,2012年ともに12位だそうです)。つまり女子は男子に比べ,「共学に行きたい」という気持ちが強いことがわかります。この本では,関東の女子校を対象に話を進めているので,いまいちピンとこない部分もありましたが,人気共学校の受験(日能研の「R4」という模試の偏差値を基準にしています)では,関東では女子の偏差値が男子の偏差値よりプラス5ポイントほど高いと分析しています。いまや共学校が主流の時代といえます。

 

本校は女子校としてまもなく100周年を迎えます。上の志望理由の「過去から継承している教育理念・校風」と河内小阪駅から歩いて3分という「交通の便がいいから」があてはまります。しかし,女子校だからと選ばれない経験が,入試広報委員として,痛いほどよく聞かされ,泣かされています(初めは本校を希望してくれていながら,受験生が最後の最後で共学校へ行ってしまったという意味です)。このデータを見るとなるほどと思う反面,少し悔しい気持ちになりました。この本をさらに読み進めていくと,内容はなかなか面白く,軽く読める面がありますが,関東の女子校出身者の経験談が大半を占めており,その部分は,私には分かりにくい部分も多々ありました。そんな中,興味を持った部分だけを少し紹介します。

 

現在,「上の女子大に行くから勉強はぼどぼどに」というお嬢様学校は,基本的にはほとんどなくなりつつあります。「良妻賢母を育てる学校」から「自立した社会人を育てる教育をする学校」へと変わってきているといえます。女子校でも関東なら桜蔭,雙葉,女子学院,フェリス女学院のような「難関校」,偏差値が最高峰の名門校であり,生徒たちは自力で大学受験をクリアできると考え,大学受験対策には熱心ではなく,もっと高度な授業をしていきます。それとともに難関校の滑り止めに位置するとされる「進学校」,宿題やテストが多く,しっかりと勉強をさせ,塾に行かなくても大学受験対策ができるカリキュラムになっている。全員のテストの答案を貼りだすケースもあったりとかなり厳しい面もあります。そして「中堅校」,進学校よりも偏差値的に下にある学校で,カリキュラムは進学校化しています。塾に行かなくても大学受験対策はできるし,少人数制で受験対策も手厚い学校が多い。いじめがあれば学校がすぐに対応するといったようにサービスが行き届いている学校です。女子校の分類ともいうべきものがここでは紹介されていて,かつ,女子校のこれからについても探っています。『進学レーダー』編集長の井上氏の話を載せて,こう語っています。

 

「女子校では『おまけ』の部分が重要です。豊島岡のシンデレラ階段や運針,鷗友のリトミックや園芸,吉祥女子は芸術コースの名残による文化的な雰囲気」

 

これらの例に挙げられた学校の中で,豊島岡女子学園の運針がユニークだと感じました。この運針は裁縫学校の名残だそうで,毎朝5分,白い布に赤い糸で縫っていきます。この「おまけ」の部分を形成していくのが「ブランド」だと著者は述べています。学校はカリキュラムや学費だけでなく,ブランド力がないと伸びていきません。将来のキャリアを形成するサポートをするという教育方針やカリキュラムがブランド力に通じているとも述べています。さきの豊島岡の運針は,この学校を希望する女子小学生たちも「やってみたい」「おもしろそう」というそうです。かつて,「裁縫」は手に職のツールで,庶民の女性たちは経済的な自立のために裁縫を習いました。裁縫学校だった豊島岡は創立当初から,女性を経済的に自立させることを目的としてきて,その理念は変わっていないようです。それが現在の時流に合っているため,「運針」は進学校のブランドステイタスとなっています。

 

女子校のブランド力は,良妻賢母のお嬢様学校からキャリア校へ,すべての女子校がいま,この流れになってきていると言っても過言ではありません。その中で,従来キャリア校だった学校はそのカラーをきちんと打ち出しているゆえに志願者が増え,偏差値が伸びてきているいえます。『進学レーダー』の井上氏も「男子校は従来,社会で活躍する人材を育ててきた。それがいま女子校に求められるようになってきています」と語っています。

 

少し長々と紹介してしまいましたが,この本なかなか勉強になる部分がありました。キャリアと言う部分では,本校にも「健康栄養コース」,「児童教育コース」「身体表現コース」があります。これらはまだ始まったばかりのコースなのでこれからの将来性に私は期待しています。また,「選抜特進コース」「特進コース(内部・外部とも)」についても,6年かけて学習指導体制,しつけ面でしっかりサポートできる体制になってきました。樟蔭のさらなる発展を考えた時,この著者が述べている「ブランド力」「女子校力」を伸ばしていかないといけないのかもしれません。今の状態に満足することなく,本校もさらなる発展を目指してがんばっていきたいと思います。

 

以上,入試広報の三品でした。