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樟蔭レポート

今年の樟蔭ブログも理科シリーズにしようと思います。長いですが、雑学みたいな感じで目を通してください。去年の秋、授業で使うために「カルスト地形」を見ておきたいということで、いくつか場所を調べていました。カルスト地形は、その大地を構成している石灰岩が、雨水や地下水の作用で溶かされることによってできた地形です。この作用のことを溶食作用といいます。それが見られる場所の一つとして霊仙山があります。去年の秋はクマが出没があちこち激しかったですね。この霊仙山も“クマ出没”の看板が登山道にあちこちあるらしく、山行をあきらめました。クマには会いたくない。何年か前の北海道修学旅行で、ヒグマどうしの小競り合いで、“なまクマパンチ(早すぎて見えない&すごい爪)”をガラス越しに見てから、クマにだけは会いたくないと強く思うようになりました。

年が明けて雪がほぼ消えた3月初め、やっと登ってきました。
この山を選んだもう一つの理由は、ちょうどその頃、フクジュソウが咲く山だったからです。

フクジュソウ

石灰岩の頂上尾根一帯は大小さまざまな石灰岩塊が地面から生えているような感じに見えます。

頂上尾根石灰岩台地のカルスト地形
頂上尾根石灰岩台地のカルスト地形

そして、ドリーネといわれる石灰岩地形に見られる窪地もいくつも見つけることができました。ドリーネは雨水などで溶かされてできた窪地で、その地下には地下水の流れ道があります。この地下水の流れ道が大きくなれば鍾乳洞になります。霊仙山の地下に鍾乳洞があるのかもしれませんが、存在は知られていないはずです。近くには河内風穴という洞穴があります。

↑深く穴が開いたドリーネ ↓ドリーネにできた池

大きなドリーネ
直線状に点在するドリーネ

ここの石灰岩が形成されたのは、おもに古生代の石炭紀後期頃とのことです。ということは、フズリナなどの化石が出るかもしれないと探しながら登っていると、見つけることができました。フズリナとウミユリ類の化石です。

↑↓フズリナ化石
↓(下2枚)ウミユリ化石

もう一つ、意外に思った発見がありました。それは変成岩と呼ばれる岩石の一種である結晶質石灰岩=大理石=マーブルの存在です。高校地学基礎の教科書には、結晶質石灰岩は接触変成作用によって生じるとされます。地下から上昇してきたマグマの熱に焼かれて石灰岩から結晶質石灰岩ができるのです。霊仙山の石灰岩の下にはマグマがもとになってできた火成岩の一種である玄武岩があります。しかし、この玄武岩が冷えて固まった後に石灰岩ができているので、石灰岩がその玄武岩から熱を受けることはありません。調べてみると結晶質石灰岩は、高校地学の教科書にあるように接触変成作用以外にも広域変成作用という地下深くで、地下の熱によっても形成されるという記述を見つけました。初めて知ったことで、とてもよい勉強になりました。

↑↓普通の石灰岩に含まれる結晶質石灰岩=大理石(白色が強い部分,結晶面がキラリと反射する)

これらの化石や、変成岩としての結晶質石灰岩については、その段階ではもうすでに授業が終わっていたので、今年度の授業で使うつもりです。

上で「石灰岩の頂上尾根一帯は大小さまざまな石灰岩塊が地面から生えているような感じ」と書きましたが、この生えているように見える石灰岩塊のほとんどは、いわゆる礫(れき、石ころ)ではありません。

それは、ウミユリやフズリナ化石が見つかる石灰岩や、結晶質石灰岩になっている部分が、地表面だけでは切れ切れに見えても、少し見渡せば、帯状に分布しています。このことから、これらの石灰岩塊は、どこから転がってきた転石などではなく、巨大な石灰岩体が、雨水などの作用で溶かされて残った結果であるとわかります。

↓ウミユリやフズリナ化石が写真手前、やや左からリュックサックの方へ帯状に分布

↑結晶質石灰岩が帯状に分布

これまで3度霊仙山に登りましたが、登るたびに発見があり、とてもわくわくします。地質図というの見ると、ここの石灰岩の一部が中生代のものであるように書かれています。中生代といえばアンモナイトです。次に登るときには、もう少しよく調べて、ほんとうに中生代の石灰岩があるのなら、アンモナイト化石を探してみようと思います。ビルの壁や床に使われている大理石にときどきアンモナイト化石が含まれています。北海道修学旅行で宿泊する予定になっていた札幌のシャトレーゼガトーキングダムというホテルの石材にもアンモナイトなどの見事な化石がたくさん含まれています。行きたいですね。下の写真がそのホテルの床石材のアンモナイト化石です。

さて、以下、霊仙山で見たきれいな花たちで最後にします。

↑フデリンドウ ↓クリンソウ

↑ヒロハアマナ
↑ヤマシャクヤク

大久保雅弘(2年春組担任,理科-おもに地学担当)