再び「書く」ということ
2016年10月11日
10月も半ば近くになり、朝晩涼しくなり、そんなに汗をかかなくてよい季節となりました。9月末から本学も秋期が始まり、キャンパスも賑やかです。卒業回生にとっては卒業研究論文や作品の完成を気にする時期になろうとしています。指導教官と連携を取り、より完成度の高い論文や作品の作成に取り組んでもらいたいと思います。
6月の「学長だより」で書きましたが、今回も「書く」をテーマにしたいと思います。6月では私の拙い経験を紹介しつつ、まずは「書いてみる」、「書く」ことにより徐々に自分の頭の中が整理され主張点が明確になり相手にも理解してもらいやすい、という内容を記したと思います。
学生には講義の際に私は、講義内容を理解(語句の暗記も同じ)するには、「書く」ことを薦めています。「書く」という作業を通して、「手指を動かす」「書いた文字を見る」という人間の感覚を通して、書いた語句や文章を脳内に情報として伝達し印象強く記憶に残るからです。この『動かす』『見る』という動作は各々、運動神経や視覚神経を通して脳内にインプットされます。これらに加え、もし周りに迷惑がかからないのなら、書いた内容を口に出して喋ってみることを行えば、さらに理解度(暗記度も?)が向上するでしょう。つまり先の二つの感覚に、口腔関係の筋肉を使うことでさらに運動神経と喋った言葉や文章を聞くことによる聴覚神経からの情報も加わるからです。4つの刺激を脳に与えることにより、より理解度が深まると思います。もちろん、記憶力アップにもつながります。あんまり大きな声は出せないとしても、ブツブツ書いた内容をつぶやくことで、自分の頭の中が整理され、文章の推敲も進んでいくことでしょう!
とにかく、まず「書く」こと。行動を起こすことが大事です。これは今回の書くことに限ったことではありません。最近の学生を見ていると、あーでもない、こーでもないと悩んでいる人が多いように思えます。悩むこと自体は悪いことではないのですが、悩んでばかりでなかなか一歩が踏み出せない人が増えてきていると思います。悩んで行動に移せない要因はいろいろあると思います。最近はいろいろと情報のネットワークが発達して簡単にいろいろな情報が手に入ります。おそらく学生の最たる情報源はスマホでしょう。得られた多くの情報を的確に自分で処理できれば良いのですが、なかなかそうはいかない。情報洪水という言葉があるように、まさしく現代社会は情報過多の状態になっています。現代人はいろいろな情報にある意味、振り回されるきらいがあります。偉そうに記しているこの私でさえも、判断を下さなければならない時に情報が多すぎて、果たしてどうしたもんだろうか?と悩むことがあります。
そんな時、どうするか?私の場合、ある一定に期間を自分で区切って、つまり期間を限定して情報収集の時期とし、その後は一切、それらに関する情報を求めないようにします。そして、その時までに得られた情報を基に、多様な意見や考え方を「書く」ことにします。中には相反する情報・意見もあるでしょう。最初は、グシャグシャで構いません。そのうち何度か書き直していくうちに、だんだんと論点が見えてきて自分の考えがまとまってきます。その際に時々、ブツブツしゃべったりしています(自宅でしかしませんが)。一応、まとめができたら(あんまり完璧を求めない)、ゴーです。行動に移してみます。
ですから、「書く」という行為は何も文章力アップだけに限定するものではなく、生活全般の行動力にも大きく寄与するものだと個人的には確信しています。
また、同じ言葉で締めくくります。
トレーニングウエアも栄養ドリンクの準備も要りません。「書く」ことを気楽な気分で始めてみてはいかがでしょうか!?
北尾 悟