主として実験的な手法で人間の心のはたらきについて研究しています。その時々で自分が面白いと思うテーマに取り組んできた結果、音楽、視聴覚相互作用、感情、コミュニケーション、問題解決などかなり多岐にわたる研究対象を扱っています。
皆さん、ご機嫌いかがですか?
樟蔭女子大学大学院臨床心理学専攻の先生たちに
突撃インタビューをするこのコーナー、
この第4回目に出ていただくのは…
♪♬♪~♪♬♪♪♬♪~~
あっ!この音楽は…そう、大学教授で心理学者で
なんとミュージシャンでもある、山崎晃男先生です!
♪♪♬♪~
こんにちは~♪
その楽器、なんですか?
ディジュリドゥです。
オーストラリアの先住民アボリジニ-の楽器です。
研究室から持ってきました。
ひえ~、何だか楽しくなってきたぞ~♪
先生は、音楽心理学がご専門ですよね?
私、めっちゃ音楽聴くんですけど…。
ほう!どんな音楽を?
あおむしロックとか~アゲハPOPとか~
(注:メイ・レイちゃんの住む青虫界の音楽ジャンルです)
通学の時に電車でイヤホンつけて、
聴くっていうか、ずっとテキトーに音楽を流してます。
あー、なるほど。一種のBGMやね。
実際、私たちの身の周りには音楽があふれていて、
自分で聴こうとして能動的に音楽を聴いている時間よりも
BGMみたいに受動的に音楽を聴いている時間の方が長い、
っていう調査があります。
あ、そうなんですか!
確かに何となく音楽が耳に入ってきてる時間って
思っているより沢山あるかも。
BGMが聴いている人すべてに
肯定的な効果を与えるとは限らないですけど、
条件をあれこれ変えて調べれば、ストレスの低減とかQOLの向上とか
いろいろポジティブな効果が見つかるかもしれませんね。
いま私が、ある音楽関連企業と共同で行っている研究では、
実際にBGMを流しているオフィスなど、
フィールドでの実験を行いながら
そうしたBGMの効果やそれが得られる条件について、
検討しているんですよ。
わ、面白そう♪
私は部屋でガンガン音楽流してるけど、
あれは効果あるのかな~。
聴く以外はどうなんですか?
カラオケもよく行くんですけど。
もちろん、歌うことも色々な効果はあるやろうね。
カラオケでは、どんな風に歌ってるのかな?
やっぱ、友達とかみんなと一緒に歌うと、
盛り上がるし、テンション上がります♬↑↑
あ~、うん、それに近い研究もやってますよ。
市民合唱団をオーガナイズしているNPOと一緒になって、
合唱活動が参加者の心身の健康にどのように関わっているかを
明らかにする研究をスタートさせたところです。
合唱!卒業式にクラスで歌ったな~。
思い出すだけで泣けてくるわぁ。
絶対、心に作用すると思うなー。
ところで、山崎先生ご自身、楽器を演奏して
CDも出されているんですよね?
ええ。インドネシアの民族音楽『ガムラン音楽』の演奏活動を、
大学生時代からずっと続けていて、様々な場所でコンサートをしたり、
ワークショップを開いたりしています。
あと、ガムランを用いた現代作品の作曲もやってます。
3年ほど前には、ガムランの現代曲を集めた
フォーラムのメンバーに選ばれて、ロンドンに行ったんですよ。
その時に知り合ったロンドン在住のインドネシア人と、
いま、新しいプロジェクトの準備をしています。
ロンドンで?インドネシア人?
すんごいグローバルですね。
海外に行って、研究して、先生やって、音楽もやって、
忙しくないですか?
確かに。でも、音楽を実践している人たちとも協力しながら
音楽の研究に取り組んで、しかも自分自身も音楽の実践を行って、
幅広く音楽に関わっていられるのは
本当に幸せなことだな~、と思ってますけどねえ。
ほんとに音楽が好きなんですね~。
山崎先生は、カウンセラーではないんですよね。
臨床心理学については、教えないんですか?
確かにカウンセラーではないので、
授業で臨床心理学について教えてはいませんし、
直接、心理療法に携わる訳でもありません。
ただ、心理学の研究や調査については、
例えば、音楽が心の健康やストレスとどうつながるのか、
という研究をしたければ、指導や助言ができると思います。
音楽療法、ミュージックセラピーとかに
応用できるんですか?
考え方次第かな。
私がこれまでにやってきた研究の一つに、
『音楽演奏を通じた感情のコミュニケーション』
というテーマの研究があるんですけど、
その研究は、スウェーデンやフランス、
インドといった国々の研究者との共同研究に発展して、
音楽が「国境のない言語」、つまり
国や民族を超えたコミュニケーション・ツールとして
どんなふうに機能するか、を見出したりしました。
そういった研究は、ひょっとしたら、非言語的なセラピーにおける
言葉にならない次元でのコミュニケーションを
理解するヒントになるかもしれませんよね。
もちろん、研究者としての立場からの視点で、ですけれど。
うお~。ちょっと深そうな話ですね。
音楽、感情、言葉にならないコミュニケーション、セラピー。
研究できたら面白そう。
じゃあ最後に、担当されている授業名を教えてください。
今は『心理学研究法特論』を担当しています。
どんな風に授業をされてるんですか?
BGMを流すとか?
楽器でセッションとかしたり?
いやいや、それはないですよ。
あ、でもある意味では、それを目指しているかもしれないな…。
大学院の授業ですし、できる限り一方通行ではなく、
双方向的な授業にするように、心掛けています。
教員と院生が、ライブで掛け合いのように
授業を作っていけるといいですよね。
さすが大学院生の皆さんは、それぞれに経験と志をもって
入ってこられているので、談論風発、
私自身も楽しく授業を進めることができています。
きゃー、私もそのセッションに入ってみたい~。
気さくで、授業がとっても楽しそうなんですけど、
心理学の研究について、どんなことを伝えたい、
っていうのはあるんですか?
そうですね。
ちょっと真面目にお話ししていいですか?
もちろん!(今までマジメでなかったんか~い!)
私は、授業を通じて、心理学において心の客観的理解が
いかに大切であるかを伝えたい、と思っています。
心理学は非常に研究領域が広く、研究方法も多岐にわたります。
しかし、多くの人たちと共有可能な形で心を理解したい、
という点では共通しています。そのための重要な方法が、
科学的方法論に基づく客観的アプローチです。
そこでは、論理実証主義や実験法、統計的解析などが重視されます。
もちろん、こうしたアプローチが
心の理解のための唯一のものではありませんし、
常に最適のものというわけでもありません。
臨床心理学を志す人にとっては特に、
これとは異なるアプローチが必要なことも多いかと思います。
しかし、臨床心理学を学んでいるときでも、
臨床心理学的心の理解を補完するものとして、
心の客観的理解の大切さを意識してもらえたら、
と思っています。
おお~、最後にお話がググッと盛り上がった感じがする。
山崎先生の研究の視点は、臨床心理学の学びに、
すごく奥行きを与えてくれる気がします。
山崎先生、ありがとうございました。
今度、ぜひコンサートに行かせてください!
どうぞどうぞ。招待しますよ。
やった~!
ペアチケットで、お願いしまーす!
山崎先生へのインタビュー、いかがでしたか?
音楽に関わる活動や研究のお話が、とても楽しかったですね。
これまで登場下さった先生方のお話から、『樟蔭の臨床心理学専攻は、臨床実践がすごい』、