大阪樟蔭女子大学

家族の再構成〜もう一度家族の絆を考える〜
ポスター
平成16年度人間科学部・短期大学部公開講演会について
昨今、青少年犯罪の低年齢化、子ども虐待の増加などがニュースで毎日のように取り沙汰されている現状を鑑み、思春期を迎える子どもたちへの関わり方を見つ めなおすという観点から、「家族の再構成」をテーマに、臨床から見た家族に関する概要や、問題の起こる意義、それらを通して家族の再構成がなされる過程に ついて、また今後どのような地域や家庭が望まれるのかをお話いただきました。

児玉進さん
 
児 童相談所では、虐待や非行を始め、さまざまな家族の問題が通報されたり相談されたりしています。そしてその中では、自身が虐待を受けた経験から自分の子ど もにも虐待をしてしまうなどの、世代間の連鎖から脱却しにくい家族がかなりあります。価値観や人生観などの「観」の転換を図ることを通じて、たとえば、夫 婦間で真剣に話し合う姿を子どもたちに見せる、感謝の気持ちをオープンに表す、子どもに具体的に問いかけをして考えさせるなど、家族の中でコミュニケー ションを取っていくことによって、子どもたちに「欲求不満への耐性」を作っていくことができるのではないかと思います。親が一方的に子どもに押しつけるの ではなく、聞くべきことを聞いてあげる、そういう力が必要になっているのです。家族は過去を積み重ねてできているものであり、急に変わるものではありません。しかし、過去があって現在があり、現在を乗り越えていかなければ、未来もないと思われるのです。
高橋裕子さん
    家族とは役割やルールをもったシステムであり、メンバーは相互に影響しあっています。その中ではバランスを取ろうとする働きがあり、ある種の閉鎖性を持っ ています。家族の中で問題が起こった場合、そこには何らかの意味があると臨床家は考えます。相談に来られる方はよく「原因は何でしょうか」と聞かれるので すが、原因は一つではないのが普通です。家族みんなが問題の循環に関わりがあるので、「悪い」人を見つけることにはあまり意味はありません。問題の発生は 家族が変わる必要性を示していることが多いのです。
新しい家族の形を考える時には、一定のパターンとは違う発想が必要なことがあります。そこに一時的に家族の閉鎖性を緩める、臨床家の援助が意味を持つのです。家族は悪意からスタートするものではありません。また取り返しが効くものだと思います。今日のことをぜひ家族で話し合っていただき、家族のことを見直していただくきっかけになればと思います。


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