大阪樟蔭女子大学

2005年11月12日(土)[13:30〜16:00]公開講演会「心の癒」〜こころの癒しを体験してみませんか〜
夏目誠教授 写真 夏目誠 人間科学部心理学科教授 専門分野:産業精神保健、精神医学
プロフィール
◎奈良県立医科大学卒業
◎日本産業ストレス学会副理事長
【著書】
◎「流行歌とシンドロームーメンタル
ヘルスへの誘い」〔中央労働災害防止協会〕
◎「メンタルヘルスと企業責任」
 〔フイスメック〕
◎「現代日本人のストレス」〔NHK出版〕
「『癒し』へのアプローチ」 講演/夏目誠 氏 夏目誠氏

  癒しは感性のものです。ですから個人差が大きいものです。実は脳は2つに分かれていて、感情を司る古い脳と理性を司る新しい脳があります。ストレスを感じ ると感情の部分がつらくなるからしんどくなるわけで、癒しはこの古い脳に働きかけてこのつらさを和らげようとするものなのです。ですから本来の生体のリズ ムである自然界のリズム(1/fゆらぎ)と同じになったときに人間は快適だと感じて癒されます。そこでアロマや音楽、ペットなどとのスキンシップなどで五 感に働きかけることを通じて癒そうとするのです。

 東洋の叡智として心身一如というものがあります。これはこころと身体が呼吸を通して結びつくと見る考え方で、ヨーガや座禅、太極拳などにも見られますし、自律訓練法もこうした考え方によっています。

 癒しというもを拡大すると、ストレスをコントロールするということになります。その方法のヒントとしては、ストレスを頭の外に出すこと(話す、相談する、書く)、身体の外に出すこと(涙、汗、動き)などがあるでしょう。


岩サキ助教授 写真 岩サキ正子 人間科学部心理学科助教授 専門分野:臨床心理学
プロフィール
◎早稲田大学教育学部教育学科卒業
【著書】
◎「現代教育のフロンティア」(晃洋書房)
◎「よくわかる知的障害のある人達の人権」
 〔(財)日本知的障害者福祉協会〕
【論文】
◎「高齢知的障害者等のQOL(生活の質)
 の在りかたについて」
 〔(財)日本知的障害者福祉協会〕
「癒しとアロマテラピー」 対談/夏目誠 氏 × 岩崎正子 氏 岩崎正子氏

  アロマテラピーは、ヨーロッパの国などでは、医療現場において補助的な療法として医療効果をもたらすためのものとして医療の従事者によって行われたりして います。日本でもこうした医療従事者によるアロマテラピーも発展しつつあります。もう一つのアロマテラピーは、日常生活の楽しみとして皆さんがご家庭でな さるようなものです。ハーブティーを飲む、洗面器にエッセンシャルオイルを入れて手を付ける、足をひたす(足浴)などの方法があります。

 アロマを体内に吸収することによって、精神機能への効果があることが分かっています。例えばラベンダーにはストレス緩和効果が、ジャスミンには興奮作用があるなど、それぞれの特長を理解して使うと良いのです。

  香りを含めた五感に働きかけることができる人工的な癒しのための空間というものに、スヌーズレン・ルームがあります。オランダで生まれたこのスヌーズレ ン・ルームは、もとは心身障害の重い人のための療法として考えられたものですが、これが拡大して、癒しを求める人にも活用されてきています。


吉田真知子氏 写真 吉田真知子 フリーアナウンサー/キャリアコンサルタント
プロフィール
◎大谷女子大学国文学科卒業
◎コミュニケーション研修/接遇研修/
  社員研修/男女共同参画セミナー 講師
◎日本産業カウンセリング学会 会員
◎(社)日本産業カウンセラー協会 会員
人間科学部学術研究会 マーク 主催:人間科学部学術研究会
後援:香芝市教育委員会
「女性の素敵な歩み方」 対談/夏目誠 氏 × 吉田真知子 氏 吉田真知子氏

  かっこいいお題をいただいたのですが、「素敵じゃない」人生を歩んできた私を事例にして、「素敵な人生」を皆さん考えて頂ければと思っています。私にとっ て自立のきっかけになったのは、子育てでした。司会業をしながら仕事もしたいし、子育てもしたいと、非常に忙しい時間をすごしましたが、このときに段取り 力が身に付きました。そして公園デビューなどを通じて、自分の好き嫌いだけではいけないので、人間関係を学ぶことができました。子どもとともに能力開発を していった時期なんだと思います。

 2つ目のターニングポイントは、40歳ごろのことでした。それまではがむしゃらに仕 事に育児にと一生懸命だったのですが、「人生の午後」を意識するようになって、自分の内面を見つめるようになったのです。そこで私の生きていく証はなんだ ろうということを考えて、子どもにできることをしたい、そこからお母さんやお父さんを元気にする仕事がしたいと思うようになりました。そこでキャリア開発 やコミュニケーションについての講師のお仕事を始めるようになりました。

 家族も人間関係です。思春期までは子どもを自 分のサイクルとシステムに乗せようとしていたのですが、子どもが大きくなるとそうもいきません。そこでストレスがたまって、左目が見えなくなるということ が起こってしまいました。子どもが親の価値観に沿わないときに「諦観」のような、見続けていく気持ちを育てて行くのがいまの私の課題です。さまざまなこと を経験して、いま「自分と仲良く語り合っていきたい」という気持ちになっています。価値観の見直しをするターニングポイントを大切にしていくこと、これが 人生の醍醐味なのだと思っています。


夏目誠氏

  「あきらめる」というのは「明らかにしてきわめていくこと」なんだと思います。むしろ前向きにとらえるべきで、家庭から子どもが巣立ったときに女性が体験 する「空の巣症候群」も、一生懸命子育てをしてきたという過程があるから起こるものです。それを乗り越えることによって人間はさらに成長できます。

 ストレスはなくなるものではありませんから、上手につきあうことが大切なのです。五感のうちのみなさんの優れた部分を使って、上手にマネジメントしていくことが課題ですね。

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