「女性の素敵な歩み方」 対談/夏目誠 氏 × 吉田真知子 氏 
かっこいいお題をいただいたのですが、「素敵じゃない」人生を歩んできた私を事例にして、「素敵な人生」を皆さん考えて頂ければと思っています。私にとっ
て自立のきっかけになったのは、子育てでした。司会業をしながら仕事もしたいし、子育てもしたいと、非常に忙しい時間をすごしましたが、このときに段取り
力が身に付きました。そして公園デビューなどを通じて、自分の好き嫌いだけではいけないので、人間関係を学ぶことができました。子どもとともに能力開発を
していった時期なんだと思います。
2つ目のターニングポイントは、40歳ごろのことでした。それまではがむしゃらに仕
事に育児にと一生懸命だったのですが、「人生の午後」を意識するようになって、自分の内面を見つめるようになったのです。そこで私の生きていく証はなんだ
ろうということを考えて、子どもにできることをしたい、そこからお母さんやお父さんを元気にする仕事がしたいと思うようになりました。そこでキャリア開発
やコミュニケーションについての講師のお仕事を始めるようになりました。
家族も人間関係です。思春期までは子どもを自
分のサイクルとシステムに乗せようとしていたのですが、子どもが大きくなるとそうもいきません。そこでストレスがたまって、左目が見えなくなるということ
が起こってしまいました。子どもが親の価値観に沿わないときに「諦観」のような、見続けていく気持ちを育てて行くのがいまの私の課題です。さまざまなこと
を経験して、いま「自分と仲良く語り合っていきたい」という気持ちになっています。価値観の見直しをするターニングポイントを大切にしていくこと、これが
人生の醍醐味なのだと思っています。

「あきらめる」というのは「明らかにしてきわめていくこと」なんだと思います。むしろ前向きにとらえるべきで、家庭から子どもが巣立ったときに女性が体験
する「空の巣症候群」も、一生懸命子育てをしてきたという過程があるから起こるものです。それを乗り越えることによって人間はさらに成長できます。
ストレスはなくなるものではありませんから、上手につきあうことが大切なのです。五感のうちのみなさんの優れた部分を使って、上手にマネジメントしていくことが課題ですね。 |