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精神科医療を必要とするとき〜特に児童・青年期において〜
従
来わが国においては、こころの問題は多分に個人的問題であり、自分で解決し乗り越えていくべき問題とされる傾向がありました。そして、重篤な精神の変調を
きたした場合には、しばしば深刻な偏見の目にさらされてきました。そのような中で営まれてきた精神科医療には未整備の領域が多く残されています。それで
も、ここ10年くらい前から「心のケア」が重視されるようになり、少し精神科的援助を求めることへの抵抗感は減ってきました。しかし、子どものこころの問
題には早期に介入することが大切であるにも関わらず、まだまだ専門家が少なく、小児科の医師がホームドクター的立場から関わっていることが多いように思い
ます。このようなことをふまえて、日ごろなじみのない精神科医療の現場ではどんなことがおこなわれているかを概観します。そして、今回は特に心の問題をも
つ児童・青年期の子どもたちへの治療的介入、入院医療の現状などを中心に、私の臨床経験を交えてお話したいと思っています。 |
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