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樟蔭BLOG

ブログ

2025.07.27

斯斯鹿然

樟蔭レポート

2025.7.26.

 昨日とは変わって,ある動物の話。
私の地元,奈良市には奈良公園があり連日外国人観光客で賑わっています。
有名な寺社仏閣が多数存在することもありますが,近年はSNSの影響でしょうか,奈良の鹿を見に来る方がえらく増えているらしいのです。万博&奈良の鹿という何とも不思議な組み合わせで関西に来訪される方が驚くほど増えているそうな。自分たち地元市民にとっては,幼・小などの遠足で出掛け,写生会に行っては誰かの作品が犠牲になる(鹿に画用紙を食べられるのです)が当たり前。学校の敷地内にはぐれ鹿が入り込み,公園内では一緒に横を歩いているのがごく普通の光景なのですが,どうやらそれが珍しいようです。中には支配対象と見てとんでもないことをしでかしたり,愛玩ペットのように扱おうとして噛まれたりと難儀な人もいるようですが,それはごく一部の話。多くは各所にある注意事項の看板の指示を守って触れ合いを楽しんでくれているように思います。
 さて,そんな中,我が家に大事件が起きました。自宅の庭で作っていた野菜が食べられていたのです。今までもカラスやヒヨドリに熟してきた実を取られてしまったことはありましたが,豆類やら南瓜,特にレタスと空心菜などはよほど気に入ったのかほぼ食べつくされていました。見覚えのある小さな丸いフンが散らばり,先割れの立派な蹄の跡がそこここに。間違いなく”鹿”です。長くこの地に住んでいますが,奈良公園から随分離れた町中で,こんな風に庭を荒らされたのは初めての経験でした。急いで通路にバリケードを施しましたが,数日後,エサ場を覚えた彼らが再び襲来。細い隙間を見つけて侵入。慌てて追い立てると,1.5mはあるバリケードをひょいと飛び越えて去っていきました。どうやら更なる工夫がいるようです。
 近所の方々に聞いた話を要約してみると,住宅街ながら鹿は数頭でうろついており,人通りの少ない早朝や昼間に出没するようです。川沿いを進んで土手を上り,住宅街の舗装道路を闊歩しているそうで,害獣対策をしていない畑地や草の茂る空き地を餌場にしているようです。近所のお子さんなど,毎日水をあげて収穫を楽しみにしていた鉢植えのミニトマトを全部食べられて大変なショックを受けていました。何せ人馴れし過ぎているものだから,近くに人が来てもすぐには逃げません。本当に困ったものです。
 郊外で農業をしている方々には,今や害獣柵が当たり前で,それでも時折,柵を飛び越えて(潜り抜けて)潜入してくることもあるそうな。人間が他の生き物の生活の地を奪った代償とも言えるかも知れませんが,基本,増え過ぎた動物や危険な動物は駆除の対象になっています。しかし,奈良公園の鹿だけは昔から神の使いとされており,それを殺めるようなことはしません。今年は奈良公園内の鹿の頭数が相当増加しているようで,溢れた鹿たちが山を出て宅地に生活圏を求めているのもわかるのです。山の過密度で言えば,通常でも奈良の奥山の鹿たちは本来の数百倍の密度で過ごしていると言いますし,さらに最近になって南から熊が上ってきたようでそんな影響もあるのかも知れません。
 さて,皆さんはどんな感想を持たれますか?

                       (高3担当:増井 崇)