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樟蔭BLOG

ブログ

2024.04.24

創立記念日のたびに思うこと

樟蔭レポート

1917年(大正6)年に「樟蔭高等女学校」として設立認可されてから樟蔭学園の歴史が始まります。

創立者は森平蔵さんです。

 

樟蔭中高では創立記念日の頃に創立記念講話を行っております。そのため、毎年創立記念日が近づくと創立当時の創立者の想いを想像する機会となります。

 

創立当時、100年以上前の日本では、女性が受けられる教育や女性の社会的地位などは現在と全く異なっていたはずです。現在では女性が社会で活躍するのは当たり前となっておりますが、当時は当たり前ではなかったのです。そのような時代に、日本の未来に必要なことは何かを考え、どのように行動すれば実現へと導けるのかを考え、それを実行されたことに、私は創立記念日のたびに圧倒されます。

 

圧倒されるポイントは2つです。

 

ポイントその1
「私財を自分たちのためだけに使うのではなく社会のために尽くしたい。それは自分の義務でもある。」

森平蔵さんは当時、木材業や海運業で多くの財産を成しました。それは戦争などで世界の中での日本の位置づけが良かったからであり、そのような財産を社会のために使いたいと考えました。樟蔭設立にかかった費用は現在の貨幣価値で50億~60億円といわれています。そのような財産を手にしたときに、はたして森平蔵さんのようにできるだろうか、いやできないだろうなと思うのです。

 

ポイントその2
「日本の文明の水準を高めるためには、できるだけ多くの人に教育を受ける機会を作るべきであり、そのためには学校を作らなければならない。特に女子のための高等女学校が必要である。」

日本では女子への教育は男子に比べて遅れました。女子には教育は必要ないと思われていた時代が確かにありました。1900年代に入り、女子の初等教育の就学率が上がりはじめ、その流れで中等教育を希望する女子も増えつつありました。しかし中等教育を受けた女子が高等教育を希望しても、彼女らを受け入れる高等女学校の整備が不十分でした。教養ある女性の育成は日本の文明水準を高めると考え、当時の社会常識に流されることなく高等女学校設立へと行動をおこすことは簡単ではないと思うのです。

 

以上、私が圧倒されるポイントを紹介しました。これを機会に樟蔭の歴史に興味を持っていただけると幸いです。

 

中学副校長
猪俣 惠美子