学校案内

平成28年度入学式式辞

2016年4月1日

 本日晴れて大阪樟蔭女子大学ならびに大学院に入学された新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。すべての教職員とともに、みなさんの入学を心から歓迎いたします。そして、新入生のみなさんを今日まで育て、その勉学を支えてこられたご家族をはじめ関係者のみなさまには、こころよりお慶びを申し上げます。また、ご来賓のみなさまにはご多用のところをご臨席賜りまして、厚く御礼を申し上げます。

 新入生のみなさんは、今、新たな期待をもって本学に入学されたことと思います。みなさんが入学された大阪樟蔭女子大学ならびに大学院の運営母体である学校法人樟蔭学園は、1917年、大正6年に設立された樟蔭高等女学校がその歴史の始まりです。来年、創立100周年を迎えますが、のべ約10万人の卒業生を社会に送り出しています。時代のニーズに合わせて学びの内容など少しずつ変化していますが100年前と変わらぬものがあります。それは、「建学の精神」です。創立者森平蔵の思いである建学の精神の主旨は、「『高い知性』と『豊かな情操』を兼ね備えた社会に貢献できる女性の育成を目指す」というものです。この精神は100年前と今も変わりません。みなさんは各々の学科あるいは専攻で学びを修得していきますが、この学びを継続していくうちに『高い知性』と『豊かな情操』を身につけ、社会で貢献してもらいたいと願っています。

 この創立者や私たち教職員の思いをみなさんに受けとめてもらいたいのですが、それでは、これから始まる学生生活をどのような心構えで過ごしたら良いか、私なりに考えて、1つだけみなさんにお願いしたいと思います。

 その1つの願いとは、自分とはどういう人間なのか?自分の個性とはどういうものなのか?つまり自分をしっかりと見つめ、向き合って、自分を知る、自分を理解してほしいということです。
 人間という生き物は一人では生きていけません。集団生活を営む生き物です。この集団には、私という「自分」、あなたという「相手」、自分と相手も含めてその他大勢の人からなる「組織」があります。「自分」が集団生活をするうえで、当然のことながら「相手」や「組織」と関わりを持っていかねばなりません。この「相手」や「組織」とうまく付き合っていくには、「自分」以外の人達とのコミュニケーションを図らねばなりません。その際、「自分」自身がわからないと、「相手」や「組織」との対応の仕方、立ち振る舞いができません。しっかりとした「自分」をもっている人は、自信をもって「相手」や「組織」と対応することでコミュニケーションが図られるのです。「自分はこういう人間だ」「自分はこう考えている」「自分の意見はこうだ」「自分の感想はこうである」と言える人間になってもらいたいのです。

 大多数の新入生は少し前まで高校生でした。高校時代は関わる人の数や自分以外の人の立場もそう多くは無かったと思います。これから少しずつ様々な「相手」や「組織」がみなさんの前に現れ、それらと対処していかねばならないことが増えてきます。そして学生生活を終えてから後はもっと多くの「相手」や「組織」がみなさんにぶつかってきます。その時に「自分」というものを持っていなければ「相手」や「組織」に翻弄されてしまいます。「自分」をもっていれば、他者とのコミュニケーションをうまく取れますし、「自分」にとってプラスとなり、また、「相手」や「組織」にもプラスにつながります。お互い、ウィン-ウィンの関係を築くことができるのです。そうなれば充実した豊かな人生を歩むことができるでしょう。

 学生時代は社会人と比べて時間があります。この学生時代に大いに考え悩んでください。たとえ答えがでなくても、「自分」とはどういう人間なのか絶えず考え悩み続けることが大事です。考え悩むことを継続していると自分自身では気づかないのですが、「自分」というものが自然とできあがってくるものです。

 おりしも、きょう、4月1日から「女性活躍推進法」が施行されることとなりました。この法律が成立した背景には、日本は少子高齢化が進み働き手の人口が急激に減少していることが挙げられます。これまで働き手として女性の割合が低かったことから何とか女性の社会活動を後押し、その潜在的能力を活用しようということとなりました。いろいろと課題が多いです。しかし、少しずつではありますが改善されていきます。社会に出られたそのときにみなさんが活躍できるよう、それぞれの働き場で建学の精神である『高い知性』と『豊かな情操』を武器にして社会で活躍できるよう私たちはサポートします。私のたった1つの願いである「自分」としっかり向き合い、自分というものを確立してください。そのことが、みなさんが将来社会で活躍、貢献できることにつながると信じています。

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最後に、わたくしたち大阪樟蔭女子大学ならびに大学院の教職員すべては、さまざまな引き出しや仕掛けを用意して、みなさんをお待ちしておりました。みなさんが本学での充実した学生生活を過ごし、そして成長していくことを心から願って、私の式辞といたします。みなさん、改めてご入学おめでとう!

平成28年4月1日
大阪樟蔭女子大学 学長
北尾 悟

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