学長・副学長挨拶
学長挨拶
大阪樟蔭女子大学は、1926年に設立された樟蔭女子専門学校を前身とし、戦後の学制改革により1949年に女子大学として設立されました。以来70年を超える歴史があり、3万人を超える卒業生を社会に送り出し、女子教育に邁進してまいりました。
今後も社会の期待に応える大学であり続けるため、2017年に美を通して社会に貢献する大学として〝グランドデザイン 美 Beautiful 2030〟を発表し、本学が目指す方向として、6つのビジョンを立てて歩みを進めております。〝グランドデザイン 美 Beautiful 2030〟の「美」は、単に外見、表面的な「美」を指すのではなく、内面から醸し出されるような美しさ、教養に裏付けられ洗練された「美」を意図するものです。
現代社会は、さまざまな意味で新たな局面を迎えていると考えられます。国民国家や資本主義といった近代社会以降に成立したさまざまな制度がある種の限界を迎え、社会の複雑性はますます増大し、先行きが不透明で、将来的な予測が非常に困難な社会になってきています。
このような現代社会が抱える多くの困難に立ち向かうことができる次世代を育成するため、本学は、建学の原点に回帰し、「リベラルアーツ」を学びの中心に据えた新学科リベラルアーツ学科を2025年に開設すべく準備を進めています。これまで人類が培ってきた経験や英知を基礎とした幅広い知見をもとに、自ら考え、広い視野を持ち、問いを立て、課題を発見し、解決の道を探る学生を育成していきます。
変化する社会に対応する大阪樟蔭女子大学に、今後ともご支援を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
副学長挨拶
1917年、創立者森平蔵の女子教育への熱い想いと、初代校長伊賀駒吉郎が目指した理想の女子教育とが一つになり、樟蔭学園が誕生しました。以来、時代の変化に対応しうる「高い知性と豊かな情操を兼ね備えた女性の育成」を使命とし、100年を超えて教育活動を展開してまいりました。
大阪樟蔭女子大学の前身である、樟蔭女子専門学校が設置認可されたのは1925年です。その頃、女子は原則大学へ進学することができませんでした。そうした時代にあって樟蔭女子専門学校では、女子に対する「高等普通教育」、まさに“教養”教育を展開していたことが、学園に遺る資料から判ります。第二次世界大戦後、学制改革によって女子も大学へ進学することが可能となり、本学も新制の女子大学として歩み始めました。その際、本学が置いたのは学芸学部(the Faculty of Liberal Arts)です。“Liberal Arts”の語が示すように、“教養”をその基礎に据えたのです。時期により強弱・濃淡はありますが、本学は一貫して“教養”を大切にしてきました。
現代社会における“教養”とは何か、一言で表すことはたいへん困難です。ただ、単に身につけた知識の量を競うのではなく、身につけた知識をどのように使うのか、そして何のために使うのかが問われているように思います。私たちはこれからも本学に集う学生とともに、“教養”について考え、追求し続けてまいります。
大阪樟蔭女子大学に、なおいっそうのご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
点検・評価 人事 IR担当
副学長 白川 哲郎
「今、なぜ女子大学なのか?」本学に向けられた大きな問いです。
日本の社会における男女格差を解消しようとする努力は各所でなされてきていますが、世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数は146カ国中125位(2023年)と2006年の公表開始以来、最低の順位を記録しました。社会はまだまだ女性に厳しいと言えます。
本学は、2030年に向けてグランドデザイン「美Beautiful ~美を通して社会に貢献する~」を掲げ、「樟蔭美」をキーワードとして大学の教育・研究の改革を進めています。学生一人ひとりが本学の学びを通して自らの中にそれぞれの「美」を発見し、それを頼りに社会で活躍してくれることを目指しているからです。
本学が女子大学であることに大きな意義を認め、こだわりを持つのは、ジェンダーギャップの大きな社会を前に、ジェンダーによる差異のない世界で多くの挑戦を繰り返し、自分の可能性に拓かれた時間を過ごすことができる女子教育の利点を熟知し、その伝統を守ってきたからです。学生たちはSDGsの目標に基づく“学びを通して地域の課題を解決する“プロジェクトに取り組み、多様な人々と交流し、世界共通の目標に目を向けて身近なところから様々な経験を重ねています。建学の精神に則り、学生たちの成長を支える基盤となる大学のあり方を常に見直すとともに、学生一人ひとりの課題に対して、学びと成長の機会を充実させることが私の使命です。人生100年時代を生きる女性として、在学中の学びや活動を通してまずは自分らしさの第一段階を手に入れ、本学を巣立ってほしいと考えています。
キャンパス内で折々に実感することは、本学が卒業生・修了生のみなさまをはじめとする多くの方々の「樟蔭愛」に支えられているということです。「樟蔭美」のみならず、持続可能な「樟蔭愛」を育み、新たな伝統を築いていくために力を尽くして参ります。どうぞお力添えの程、よろしくお願い申し上げます。
学生支援 地域産官学連携推進 入試・広報担当
副学長 高橋 裕子
本年元旦の「令和6年能登半島地震」で、亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災された皆さまには謹んでお見舞い申し上げます。
まだまだ復興が進まない状況とお聞きしていますし、今後もこうした予期せぬ出来事や新たな大災害が起こる可能性もゼロではありません。そういう不確実な未来の前で、私たちはどのように準備をしておけばよいでしょうか。
新しい知識ももちろん大切。現在はAI(人工知能)が活躍する社会が目指されて、教育のデジタル化が進み、大学ではAI・データサイエンスの知識を持ち、それらを活用して社会の諸問題を解決できる学生を育てるよう求められています。本学においてもカリキュラム内容や授業方法を不断に見直して、社会の変化に対応しています。
他方で、時代が変化しても変わらない、生きるのに必要な力もあると思います。不確実な社会を生きるはどんな人?それは本学の建学の精神「『高い知性』と『豊かな情操』を兼ね備えた社会に貢献できる女性」であり、ひと言でいえば「教養」ある人です。樟蔭は100年以上、教養ある女性の育成を行なってきました。知性と情操は「教養」の両輪。情操を欠いた知性は正しいだけで他者の共感は得られません。また知性の支えのない情操は、独りよがりな個人的感情でしかないでしょう。
他者の出した答えで生きていけるほど人生は甘くありません。正しい答えはないかもしれないけれど、身につけた「教養」をもとに自分なりの答えを出して、少しずつ訂正しながら前に進んでいくしかありません。
これからの社会を見据えて、本学では「教養」をベースにした新学科を構想しています。来るべき未来に柔軟に対応でき、かつ時代が変化しても変わらない教養や人間的な魅力に溢れた学生を育成したいと考えています。引き続きみなさまのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
学修支援 学術研究支援 国際化推進担当
副学長 小森 道彦