学校案内

平成29(2017)年度 入学式式辞

2017年4月1日

 本日晴れて大阪樟蔭女子大学院ならびに大学に入学された新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。すべての教職員とともに、みなさんの入学を心から歓迎いたします。
 そして、新入生のみなさんを今日まで育て、その勉学を支えてこられたご家族をはじめ関係のみなさまには、こころよりお慶びを申し上げます。
 また、後援会、同窓会をはじめご来賓のみなさまにはご多用のところをご臨席賜りまして、厚く御礼を申し上げます。

 新入生のみなさんが入学された大阪樟蔭女子大学院ならびに大学の運営母体である学校法人樟蔭学園は、1917年、大正6年に設立された樟蔭高等女学校がその歴史の始まりです。今年、創立100周年を迎えますが、みなさんはその節目の年に入学されたのです。これまで延べ約10万人の卒業生を社会に送り出しています。
 100年の歴史を有しますが、今も変わらぬ「建学の精神」があります。創立者森平蔵先生の思いである建学の精神の主旨は、「『高い知性』と『豊かな情操』を兼ね備えた社会に貢献できる女性の育成」というものです。これからみなさんは各々の専攻あるいは学科で学びを修得していきますが、この学びを通して『高い知性』と『豊かな情操』を身につけてほしいと私は願っています。
 そのためには、どのような心構えで学生生活を過ごせば良いのでしょうか。みなさんの過ごす学生生活は、社会に出る一歩手前の時期にあたります。ですから、この時期に社会生活を営む力を養ってもらいたいと思います。この社会生活を営む力、つまり社会対応力を養うには、様々な知恵や技能が求められます。その知恵や技能を修得する過程において、『高い知性』と『豊かな情操』が身につくと思います。

 そこで、着実に、かつ効果的に社会対応力を養い、結果として『高い知性』と『豊かな情操』が身につく方法をみなさんにお伝えしたいと思います。
 その方法とは、「新しいことに挑戦する」ということです。キーワードは挑戦、チャレンジです。
 学生時代はほかの時期とは違い、時間と自由があります。大学での正規の学びはもちろんのこと、いろいろなことに挑戦し、新たな体験をしてください。多くの挑戦を通して、自分に対する新たな発見をし、多くのことを学んでもらいたいものです。これが社会対応力をつける一番の近道と思います。
 入学してすぐに社会対応力、言ってみれば、卒業後の進路、就職のことをもう考えねばならないのか?と思っている人もいるかもしれません。しかし、学生生活はあっと言う間に過ぎ去ってしまいます。今から、先を見据えた心構えで、学生生活を始めてもらいたいと思います。

 「新しいことに挑戦してほしい」のですが、時には挑戦をすることで失敗をすることもあるでしょう。なかには失敗したくないので、新しいことに挑戦することに尻込みする人もいるかと思います。そう思う人たちに私からのメッセージを発信します。

 「失敗は成功の母」ということわざがあります。「失敗は成功のもと」とも言われています。英語では、
 Failure teaches success. 直訳すれば、「失敗が成功を教える」です。 あるいは、
 He that never did one thing ill can never do it well.「一度も失敗を経験したことがない者は成功できない」と訳される表現もあります。

 「失敗は成功の母」

 失敗をしてもその原因を追究したり、欠点を反省したり、そして改善をすることによって、結果として成功に近づくことができるというたとえです。つまり、失敗を成功への過程、プロセスとして位置付けるという考えです。失敗することで、早い段階でその方法や進行方向が間違っていることを教えてくれるシグナルになるのです。失敗には必ず原因があります。その原因を追究することで、次に挑戦するときに、同じ過ちを繰り返さない、同じ轍を踏まないように自らを導くことができるのです。
 「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」、という言葉があります。この言葉は、プロ野球解説者・評論家の野村克也さんがよく使われていたので、知っている方も多いと思います。
 元の出典は、「甲子夜話(かっしやわ)」という江戸時代後期に肥前の国、今の長崎県にあたる平戸藩第9代の藩主だった松浦清、一般には松浦静山の呼び名で通っている方が書いた随筆集に記されている言葉です。

 「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」

 うまくことが運んだ時、つまり成功したときは、得てして人はなぜ成功したのか考えないことがよくあります。ラッキーにラッキーが重なって首尾よくことが運ぶこともあります。ですから、「勝ちに不思議の勝ちあり」と言えるのです。逆に、負け、失敗したときは、必ず原因があります。「負けに不思議の負けなし」です。先ほどの繰り返しになりますが、その原因をしっかりと分析し、客観視することで次へのステップにしていかねばならないのです。
 みなさんは、これからどんどん成長していく可能性を秘めています。学生生活の中で、失敗を恐れず、様々なことに挑戦してください。そして、もし失敗したときは、そのまま放っておかず、次はどうしたら良いか、自分なりに考え、悩んだ時にはほかの人の意見も聞き、答えを導くよう努めてください。このようなことを繰り返すことで、結果として、建学の精神である『高い知性』と『豊かな情操』が自然と身につくことになるでしょう。そして、近い将来、社会で活躍、貢献できることにつながるはずです。

 結びに、わたくしたち大阪樟蔭女子大学院ならびに大学の教職員すべては、みなさんをサポートすべく、さまざまなプログラムを用意して、お待ちしておりました。 みなさんが本学で充実した学生生活を過ごし、そして成長していくことを心から願ってやみません。170401.jpg「新しいことに挑戦してほしい」ということを今一度申し述べて、私の式辞といたします。
 みなさん、ご入学、まことにおめでとうございます。

平成29年4月1日
大阪樟蔭女子大学 学長
北尾 悟

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