謙虚な気持ちが多様性の寛容につながる
2019年8月19日
平成から令和の時代となり早3ヶ月以上過ぎました。新しい時代の息吹を感じ、皆さんが生き生きと前向きに行動できる世の中にしたいものです。
昨年、訪日外国人数は3,000万人を超えました。特に、関西の伸びが顕著です。6月には大阪でG20が開催され、2025年の万博に向けて国際都市の印象が深まったと思われます。また外国人に限らず、異なる考え方、価値観や感性をもつ人たちが増えてきています。これまでの画一的な見方、捉え方と違う面を大事にする社会となってきました。 Sexual Orientation Gender Identity (SOGI)もその一例です。これからの社会、将来において、多様性がキーワードになると多くの人が言っています。そのような社会に対応するには、自分自身が持っているものとは違う異質を受け入れる「受容力」が重要になってくるのではないでしょうか?
今後、自分とは違う考え方をする人々と仕事をしていくことが増えてくるでしょう。異質な人々が同じ職場にいる状況で生産的な仕事をしていくには、まず相手のことを知る努力が必要です。それまで個人々々が生きてきた背景が違うので、考え方が違うのは当たり前だと思うことが自然だと思います。そういう気持ちがなければ相手に対して配慮が足りなくなります。自分本位になり他人のことは文字通り他人事になるでしょう。場合によっては喧嘩にまで発展してしまう恐れもあります。
喧嘩にまでとはちょっと飛躍しすぎかもしれませんが、このような状況にならないためには、異質を感じ取る「感受力」が求められます。自分と違う立場の人と真摯に向き合い、相手を「感じ取ろう」とする態度やそれを引き出す会話が必要です。これが多様性に満ちた世の中を生き抜くポイントだと思いますし、結果として人間関係を良くしていくことに繋がります。真摯に向き合うには、まず自分と相手は違うということを改めて認識し、相手をリスペクトすることが必要だと思います。これまで学長室だよりで記しましたが、どんな人でも必ず自分より優れていることがあるので、それを見つけリスペクトして対話することが望まれると思います。
ただ自分が相手を知ろうと向き合っても、相手が自分のことを理解してもらえないこともあるでしょう。このような場合、相手の能力の問題、つまり相手が悪いのではなく、自分自身の態度や説明が不十分なのでは、という謙虚な姿勢が大事になるではないでしょうか。新渡戸稲造の言葉に「人を愛して愛の反響なきは己の愛の足らぬを証拠と知るべし」があります。他人のせいにするのではなく、まずは自分自身に問題がないのか、自分自身に問うことが求められるということです。
先日、東京のある学園の理事長、学長を兼ねてらっしゃる方と懇親の場で話す機会がありました。その中で組織のリーダー、フォロワーを問わず一緒に仕事をしたい人とはどういう人かという話になりました。その理事長曰く「自分と異なる意見を持つ人を受け入れる人」「学び続ける人」「周囲の人を大切にする人」の3つを挙げられました。今まで以上に多様性に対応せねばならない世の中になります。その中で仕事を含めて生活していくには、このような心持ちを持っていくことが大切だと感じた次第です。
謙虚な気持ちで自問自答しながら周囲の人々と生活をしていく。そう、うちの愛犬は散歩に行きたくてはやる気持ちを抑え、身体が硬い主人がストレッチを終えるまで玄関でじっと待っています。相手を受け入れ、ちゃんと学び、そして周囲の人を大切にしています。
うーん、それに比べて私は・・・・
北尾 悟