大学創立70周年記念フォーラムを終えて ~伝えたい樟蔭の学び~
2019年11月28日
11月17日(日)、大阪樟蔭女子大学創立70周年記念フォーラム「今、なぜ「美」の感性・意識が求められるのか?」~私の"樟蔭美"がこれからの生きる軸になる~を開催いたしました。当日、小春日和の穏やかな日曜にも関わらず、遠方からの方を含め多数のご参加に感謝しています。
このフォーラムは、リアルな学生および卒業生の姿を通して、歴史と伝統に裏付けされた「大阪樟蔭女子大学の学び」に共感していただくことを目的としました。その歴史と伝統とは「建学の精神」を礎とし100年続いて培われてきた有形無形のものです。具体的にどういうもの?ということを説明することは難しいのですが、そのヒントを今回のフォーラムでは示せたと感じます。
特に、パネルならびにポスターセッションに参加してくださった在校生および卒業生が素晴らしかった!各々が樟蔭入学前の状況や心境に始まり、在学中での取組み、そして卒業生は現在の取組みなどを話してくれました。もちろん、これまでに多くの悩みや葛藤があったと思います。でもそれらを克服するため、いろいろと考え自分なりの答えを見つけ前向きに行動している様子に感動しました。また、こういう考えや行動を可能にする環境が樟蔭にある、と皆言っていたのもうれしく感じました。
将来、悩み、苦労することもあろうかと思いますが、周りに惑わされるのではなく自分の楽しいことをする、失敗してもその失敗から学べば良いという姿勢があるので、どんな困難も打ち克ってくれるはずです。今後、エールを送り続けたいと思います。
本学の客員教授の白井文先生には「私らしく、美しく」というテーマで、特別講演をお願いしました。ご自身のプロフィール、これまでの歩みを赤裸々?に語っていただき、「人の縁」を大切にし「人の扉」から成長をしていく、若い人たちに生きる上での考え方のヒントや他者との関わりの大切さを示していただきました。
また、SDGs(持続可能な"開発"目標⇒白井先生曰く"発展"目標)を分かりやすく説明していただき、どのゴールも「女性の課題」であると示されました。こういう現状を理解した上で、様々な取組みがされていることを認識させられました。
そして、「私らしく、美しく」というのは、実は樟蔭ではこれまでの先人達が具現化しているのですよ、ということで、「えをとめ ものかたり」注)から田辺聖子さんをはじめ樟蔭の卒業生、関係者の紹介をしていただきました。まさしくこれが樟蔭の紡いできた「歴史と伝統」なのだと思います。
冒頭、私が開会の挨拶を兼ねて基調講演をさせていただきました。そこでは、これからは人生100年時代、人生モデルがこれまでとは違いマルチステージとなる、そしてAI(人工知能)、ビックデータやロボテックス等先端技術が高度化して、あらゆる産業や社会生活に取り入れられ、社会の在り方そのものが大きく変化する時代が来ると予想されていることにまず触れました。シンギュラリティという言葉も示しましたが、こういう時代になるからこそ、これまで樟蔭で培った教育、特に無意識に100年紡ぎ続いている「美」の感性・価値観が必要となってくるのでは、と話しました。現在、大学ではグランドデザイン「美 Beautiful 2030~美を通して社会に貢献する~」のスローガンのもと、6つのビジョンを掲げ具体的な施策を展開しています。また樟蔭学園全体でもブランドコア「樟蔭美」の検討を進めています。
グランドデザインの6つのビジョン実現は何も難しいことではないと思っています。今回のフォーラムのパネルならびにポスターセッションに登場した在校生や卒業生は現在の「えをとめ」です。胸を張って前向きに行動していると言える学生は確かに少ないかもしれませんが、生き生きとキャンパスライフを送っている学生が少なからずいるのです。そういう学生を一人でも多く育て、卒業後、色々な場面で社会の要として活動、活躍できるよう、サポートをしていきたいと思います。現在の「えをとめ」を育てるのが、大阪樟蔭女子大学の使命だと考えています。こういう環境づくりを行うには、様々な「学び」を充実させる必要があります。そのためにグランドデザインの6つのビジョンの具体化を進めていかねばなりません。
今回のフォーラムを通して、在校生や卒業生からパワーを頂戴しました。そのパワーを活かしていきます。小さなところから周りに働きかけ、少しずつ大きな波、うねりにしていきます。
これからの樟蔭の学びに皆さんもエールを送ってください。
注)「えをとめ」:日本神話の「国生み」に登場する伊邪那美(いざなみ)のこと。美しい女性を表わした最初の言葉。
北尾 悟