大阪樟蔭女子大学 OSAKA SHOIN WOMEN'S UNIVERSITY
学校案内

令和3(2021)年度 入学式式辞

2021年4月1日

DSC_7869[2997] 学長(金田).JPG 本日晴れて大阪樟蔭女子大学大学院ならびに大阪樟蔭女子大学に入学された新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。今年は一足先に桜が満開となりましたが、季節はいつものように移ろいでいきます。そのような中、すべての教職員とともに、皆さまの入学を心から歓迎いたします。
 そして、皆さまを今日まで育て、勉学を支えてこられたご家族をはじめ関係の方々にも、心よりお慶びを申し上げます。願わくは、この同じ空間で一緒にお祝いしたかったところですが、コロナウイルス感染終息の見通しが立たない状況が続いており、ライブ配信で視聴となったことにご理解いただきたいと思います。

 学校法人樟蔭学園は、1917年、大正6年に設立された樟蔭高等女学校がその歴史の始まりです。創立以来100年を超える伝統とともに歩みを刻んでいます。また、大学も1949年の開学以来、70年を超える歴史を有しています。「現代社会の進歩に対応し得る高い知性と豊かな情操を兼ね備えた社会に貢献できる女性の育成を目指す」という学園の建学の精神が、100年経った今でも色褪せることなく受け継がれています。この間、10万人を超える卒業生を社会に輩出し、多くの方々が様々な分野で活躍されています。時代が移りかわり、今後AIをはじめ先端技術が高度化し、社会のあり様が大きく変化しようとも、樟蔭で培ってきたこの精神は、これからも自信をもって評価されるべきものだろうと思います。
 そして、次の時代に向けて皆さまと共に、これからの新しい樟蔭の物語を作っていきたいと思います。

 さて、このコロナ禍の現状、行動に制限がある中、活用されるのがソーシャル・ネットワーキング・サービス、SNSです。時間や場所などの制約がなく、気軽に相手にメッセージを送ることができます。皆さまも何らかのSNSを利用しているでしょう。便利ではありますが、表現に十分注意を払わねばならない側面があります。対面での会話とは違い、SNSだと言葉や文章が画面に残ります。絵文字も含めてほんの何気ない表現と思って送信しても、受け取る相手にとっては、非常に重く感じることもあります。面と向かっていたら相手の表情が分かり、言い直したり、修正したり、また場合によってはニュアンスを変えて伝え直すことができます。しかしSNSでは、相手がどう受け止め感じているのか分からないことも多く、誤解を与えたり与えられたりします。タイミング良く訂正することも難しいので、より慎重に対応しなければなりません。その配慮を欠いてしまうと、場合によっては誹謗中傷となり、思いもよらない不幸を招くこともあるのです。相手との接し方をどうするのか、考える必要があります。これは日常生活についても同じなのですが、この機会に今一度、考えてみませんか。
 そこで私から、皆さまに学生時代に心がけてほしい2つのポイントを伝えます。

 まず、一つ目として相手の立場に立って考える習慣を付けましょう。誤解を生じることなく情報交換を行うには、送り手は受け手である相手のことを理解しなければなりません。少しでも相手の立場に立って考えなければ、その人のことを本当に理解することはできません。もし自分が相手の立場だったら、この文章表現を見たら、どう思いどう感じるか、をイメージするだけでも構いません。相手を思いやることで相手を傷つけることが少なくなります。こういう習慣や意識付けが、情操や品性を養うことになります。

 次に、二つ目として相手に誤解されないよう、表現力を身に付けましょう。それには多くの文章表現に接することが一番です。読書です。本を読むことによって自分が知らない言葉や表現を吸収できます。文章を追うことにより、様々な人に出会い、様々な場所を旅し、様々な考えを知ることができます。読書を通して、異なる価値観や世界観を知り、相手の立場を思いやることになるでしょう。読書を通して知性を養うことになります。
 この二つのポイントは、SNSで表現し伝える時だけに必要なことではありません。人と人とのつながりである日常生活を送る上でも大事なポイントです。

 大阪樟蔭女子大学は、2030年に向けたグランドデザインを提示しました。そのスローガンは、「美(知性・情操・品性)を通して社会に貢献する~美 Beautiful 2030~」です。先ほど示した2つのポイントは、知性の美、情操の美、そして品性の美を兼ね備えていることに繋がります。外見上だけではなく、むしろ内面から醸し出される美しさとなり、その美しさを通して社会に貢献する人を多く送り出すことが私たちの究極の目標です。それが「樟蔭美」なのです。

 皆さまの大先輩の田辺聖子さんは、「相手が気難しそうで分かってもらえなさそうな時ほど、どんな言葉を使って、どうしたら分かってもらえるかを考えると、ワクワクする」と言っていたそうです。

 田辺聖子さんの域まで到達することは中々難しいですが、相手を思いやり、豊富な読書を通して自分の価値観、世界観を養うよう心がけていくと、「美 Beautiful」な学生生活を送ることができるはずです。私たち教職員一同も、様々なプログラムを準備しサポートしていきます。有意義な学生生活となるよう新入生の皆さまにエールを送って、私の式辞の結びといたします。

 皆さま、ご入学、まことにおめでとうございます。

令和3年4月1日
大阪樟蔭女子大学 学長
北尾 悟

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