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答えは一つしかないとは限らない

2017年8月2日

 暑い日が続いています。高校野球の地方大会も終わり、いよいよ甲子園大会です。まだまだ、これからが夏本番と心してかからねばなりませんね。前回も記しましたが、気持ちと行動はクールにいきたいものですね。

 現代の世の中、インターネット、SNSなどには様々な情報があふれています。何かわからないことがあれば、多くの質問サイトがあり一応の答えが得られます。いつでもどこでもアクセスできるので、安直に答えを求める状況が強まってきていることに、少し私は憂慮しています。学生のレポートなどでも、いわゆる「コピペ」が以前から問題にもなっています。いろいろな問いかけに対して、自分で深く考えるよりも、すぐ安直に正解を求めるようになってきているのではないでしょうか?

 また、マニュアルの徹底や規程(決まり)の順守が言われています。確かに問題やトラブルなどが起こらないように、あるいは、起こった後の対処法など一定のルールは必要です。マニュアルや規程はなくてはなりません。ただ、これらに従っていれば大丈夫というものではないと思います。

 昨今、「正解のない問い」が増えてきているように思います。予測困難な時代に入ったという人もいます。「○か×か」「白か黒か」という単純に答えられない問いかけが増えてきているように思います。このご時世、今一度原点に帰って、しっかりと考えていく姿勢が大事だと感じます。考えもせず、すぐに質問サイトに答えを求めたり(時には間違えている場合もある)、マニュアルなどルールに則ったやり方で問題を収拾しようとしていませんか?素早く判断しなければならないときもありますが、自分の頭で考えないで他のものに頼っていることはないでしょうか? 深い考察なしに結果だけ求めることは課題解決力の減退につながります。特に白黒どちらかに結果が落ち着く場合でないときには、「どちらでもない、あるいは真ん中的の視点(あいまいとは違う)に基づく新しい解決策」が求められることがあります。また、マニュアルや規程などもそれが設定されたときには理にかなっていたとしても、状況が変化し、ある時点において相応しくないこともあり得ます。基本ルールを認識した上で、実際の判断はマニュアル通りではいかないことも想定しなければなりません。

 自分の頭で考え、時には悩み、そしてまた考えましょう!考え抜く姿勢が今、問われていると思います。でもなかなか一人で考え抜くことは難しいと思います。そんなときは、人と話をするのも一つの手です。そこでは課題を提示後、自分の頭に描いていることを一方的に相手に話したり、押し付けたりはせず、まずは相手の意見を聴くという姿勢が大事だと思います。相手の立場を把握し、相手の意見を自分のこととして捉えてみて考えてみてはいかがでしょうか?判断がつかず悩んでいるときは、得てして独りよがりに陥っていることが多いです。自分とは異なる価値観を共有できれば、課題解決に大きく前進すると思います。

 画一的に素早く判断が求められる風潮。これは大学関係者も自省せねばと思います。その最たるものが、入試問題です。問題を解く場合に考えながら解いていく、考える過程を示す、あるいは記述する形式の問題提示をすれば良いのでしょうが、本学の入試でも一部を除き、マークシート問題形式である一定時間内に解答を求めているのが実状です。現状を考えるとなかなか難しいですが、いずれ入試制度も変えていかねばならないでしょう。

 すぐに正解を求めず考え抜く、そして異なる人との対話を通して自分の価値観を築いていく姿勢。私も身につけねばと思っています。

北尾 悟

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