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人間国宝の吉田和生先生による集中講義「日本文化実習」を実施しました

2022年08月29日

国際英語学科の「日本文化実習」(集中講義)が8月16日(火)~18日(木)に実施されました。グローバルな国際的視点を持つために、まず自国の伝統文化「文楽」について学びを深めます。
講義では、2017年に文楽で重要無形文化財保持者(人間国宝)になられた本学非常勤講師の吉田和生先生が登壇され、学生は文楽の歴史、ストーリーの理解、人形の仕組みや遣い方などを教わりました。

最終日には発表会があり、「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」を学生が一人ずつ披露しました。
ストーリーは、主君の刀を盗まれた十郎兵衛が、お弓(妻)といっしょに、おつる(娘)を後に残して、盗賊になって大阪で刀を探していました。
学生が発表した巡礼歌の段では、偶然お弓のもとへ巡礼の女の子が訪ねてきて、お弓はそれが娘だと気づきます。母だと打ち明けたいが今は盗賊として追われる身なので、打ち明けることができず、涙をのんで「国に帰りなさい」というシーン。

発表では弟子の吉田和馬さん、吉田和登さんも加わり、学生がおつるを、吉田和生先生がお弓を演じました。
スピーカーから聞こえる太夫の声に耳を傾け、緊張した面持ちで演技を始める学生。2日間かけてストーリーの意味をくみ取り理解してきた学生は、おつるのつらい心情を細やかな仕草で表現しました。
「ととさんの名は十郎兵衛、かかさんはお弓と申します」の有名なシーンでは、学生演じるおつるのさびしさと、吉田和生先生演じるお弓の切なさが涙を誘います。
同じ演目でも演じる人で違う表情を見せる文楽。学生がそれぞれ表情の違うおつるを演じていたのが印象的でした。

発表会に参加していた先生からは、「人の感情を人形の表情で表すのが文楽の魅力。400年続く文楽の奥深さを感じてほしい」と感想が述べられました。
吉田和生先生は、「文楽を体験した経験をときどき思い出してください。そしてその経験を大事にして、今後誰かにその話ができるようになると良いですね。ぜひ劇場にも文楽を観に来てくださいね」と穏やかな表情で講義を締めくくられました。

発表会の緊張から解放された学生は、講義終了後先生や人形と記念撮影をしていました。着物に関心がある化粧ファッション学科の学生が、人形の着物について熱心に話を聞く姿もありました。
日本伝統文化の文楽を人間国宝の先生から直接指導してもらうことができ、学生にとって高い教養を身に付けるための貴重な経験となりました。